こんなときどうする
労働相談Q&A
 

 

 


15組合活動


1501
<他組合のストに対する賃金補償請求>


B

 ただし、上記いずれの場合にも、第2組合として会社に要求し、交渉することは何ら問題ありません。



1502
< 親会社・銀行へ運動を拡大 >


Q : 私の会社は中小企業です。中小・零細企業で労働争議が膠着して、解決の展望が中々見出せない時、突破口となるよい方法はないでしょうか?

 

A :中小企業の場合、所属会社との交渉だけでは、どうしてもらちがあかないことがよくあります。そういう時は思いきって、闘いの土俵を広げることも必要です。

 例えば、埼玉県のパチンコ店女子従業員6名の解雇事件では、たまたま銀行から出向していた管理職が解雇を言い渡す役目だったので、銀行も労働委員会に訴えたことが解決のきっかけとなりました。

 また取引先が、公共事業を行う特殊法人(公団)の場合、そこへの要請が大きな役割を果しました。

 労働組合運動では、このような闘い方を「使用者概念の拡大」と呼び、中小企業労働争議では特に大きな効果を上げてきました。

 解雇や倒産、突然の賃金カットなど、労働争議になるような大きなことをやられた時は、「即対応する」ことが一番重要です。「何事も最初が肝心」といわれるように、長期化する前の「即対応」がその後の帰趨を決めるケースが多いのです。

 東京墨田区にあるプリント基板製造会社のワンマン社長の例社長がある日突然、従業員を全員解雇すると宣言した後、姿をくらませてしまいました。

 ところが、「全員解雇」は表向きの話で、非組合員だけ再雇用しようと、密かにを画策していたのです。怒った組合員は「即対応」し、その日のうちに会社事務所に泊まり込み、取締役と管理職に社長あての嘆願書を書かせました。翌日以降も生産はストップ。社長のもくろみは大きくはずれてギブアップ、すぐに解雇白紙撤回を勝ちとりました。対応が遅れていれば、取締役や管理職の指揮のもとで非組合員が動員されて、会社の新体制ができあがりかねませんでした。時期を逃さず、「即対応」したことで、敵に体制作りの時間を与えませんでした。

 神奈川県川崎市で日曜大工用品の卸会社が倒産した例

 従業員は「即対応」して、その日から会社の事務所と倉庫を占拠、労働組合の管理下に置きました。1ヶ月あまりの泊まり込みによって、労働委員会のあっせんで、労働債権と解決金を勝ちとって争議は終了しました。メーカーや銀行がハイエナの如く入ってくる前に、会社の資産を押さえて労働債権を確保したことで、安心して闘うことができました。

 しかし「即対応」するにはそれなりの準備が必要です。「準備」のカナメは、日常普段の「団結」に尽きます。各部署に離れて働いていても、日ごろの意思疎通があれば、倒産などの情報も掴めるし、社長の動きもすぐ察知できます。「3人寄れば文殊の知恵」といことわざがあります。「会社がこうきたら、どうするか」と日ごろから仲間同士で話し合って、先の見通しを考える習慣をつけることで、構想力が鍛えられます。いきあたりばったりの作戦では、勝てる勝負も負けてしまいます。社長の動きや、社内の風の流れを絶えず把握して、一歩先を見通す「目」も「3人寄れば」養うことができます。流れを読む目を養うことも「団結」のひとつです。

 労働争議が膠着して長期化すれば、兵糧攻めにあって生活に疲れ、切り崩しで離反する仲間も出てきます。向こうも人間、こちらも人間で、争議の場面場面の衝突の積み重ねで憎しみあうようになれば、収まるものも収まらなくなり、一生うらみ合うことになります。

 長期化してこじれる前に、敵が体制を立て直す以前の、こちらの勢いがまさっている内に、「即対応」で一気に緒戦の勝負にでることが、労働争議の鉄則といえます。

 


]1503
<労働3権とは?>


Q:“労働3権”というのを聞いたのですが、どのようなものですか?

 

A:“労働3権”とは、日本国憲法第28条に定められた、

 1.団結権、

 2.団体交渉権、

 3.団体行動権

のことで、勤労者に認められた権利のことを言います。

 具体的に言いますと、1.は労働組合を作ること、2.は使用者との話し合いができること、3.は組合 活動を自由に行えること(ストライキを含む)ということになります。

 日本国憲法にこのようなことが定められたのは、労働者にこの3つの権利を与えなければ、使用者と対等の立場で労働条件を定めることが難しいということが前提になっているからです。つまり、労働組合の無い職場では、労働者の意見を反映させることは非常に難しいことと言えるでしょう。

 


]1504
<ユニオンショップ協定>

Q :私立高校の教員で組合員です。労使協定書に、「専任教諭は組合員でなければならない。学校法人は組合に加入しないもの、組合から脱退したもの、または除名されたものは解雇するものとする」とあります。この協定は、組合に入りたくない人の自由を侵害するので、憲法で認められた思想信条の自由に反すると思います。釈然としません。組合側から見れば、できるだけ組合員を確保したいのでしょうが、この協定が法的に有効とはとても思えません。組合を脱退すれば、本当に解雇されてしまうのでしょうか? その場合、解雇は有効とされてしまうのでしょうか? 組合自体が一つの権力機構のようになってしまっていて、あまり期待できないので質問しました。

 

A :このような協定を、通常「ユニオンショップ協定」と呼んでいます。

 危惧されている通り、日本では大企業の労働組合のほとんどが、この協定を結んでおり、その多くは「御用組合」と言われているのが現実です。労働者のためというより、会社のための組合、あるいは組合のための組合、組合でメシを食っている一部幹部のための組合に堕しているという嘆きが、あちこちから聞こえてきます。

 「ユニオンショップ協定は本当に労働者のためになるのか」、「経営者と癒着する組合幹部の支配を温存しているだけ」という批判の声が、近年高まっています。

 しかしこの協定は、最高裁判例で憲法に違反しないとされています。従って、学校法人は当該教員を解雇する義務を負っており、この協定に基づいて行われた解雇は法的に有効とされています。

 ただし例外として、当該教員が他の労働組合に加入したり、別の組合を結成した場合は、解雇できませんし、仮に解雇されても、「解雇無効」となります。また、組合が行った除名処分が無効な場合は、除名を理由とした解雇も無効とされています。

 以上は、「他の組合に加入している者、又は新たな組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、民法 90 条の規定により無効である。それに基づく解雇は解雇権の濫用である」(三井倉庫港運・最高裁判決)とされ、判例として定着しています。

 従って、あなたが今の組合がイヤで脱退する場合は、新たな組合を作るか、地域ユニオンなど他の組合に加入しないかぎり、解雇されてしまいます。

 ユニオンショップ協定が、憲法で保障された「思想信条の自由」「結社の自由」等に抵触しない理由は、憲法 28 条「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」にあるとされています。労働者が団結してユニオンショップ協定を結ぶ権利を憲法28条は保障している、という考え方です。「労働者の団結しない自由」よりも、「団結し、協定を結ぶ自由」が優先すると説明する学者もいます。

 また、他の組合に加入した場合は解雇できない(解雇しても無効になる)のは、「労働者には組合選択の自由があるから」と説明する学者がいます。しかし、「組合選択の自由」という市民的自由権の保障という考え方よりも、「憲法28条は、労働組合という組織に対してのみ権利を認めるのでなく、労働者一人ひとりに対して団結する権利を保障している。従って、少数派組合の団結権も多数派組合と同様に尊重されるし、労働者は好きな組合を選ぶことも、新たな組合を作ることもできる」と考えるのが正しいのではないかと思います。

 組合は組合それ自体のためでなく、組合員のために存在するのですから。


]1505
<「スト参加者は解雇」と言われた>

Q:先日ミーティングのときに、組合員が会社とボーナス交渉でストライキを行った場合にはストライキに参加した人は会社を辞めてもらうといわれました。家族もあり家のローンもあるので迷っています。

ネットで調べて見ると労働基本権とかいうものがあり、一方的には辞めさせる事が出来ないと書いてありましたがいかがなものでしょうか? 

もしこれが労働者に対しての強迫を意味する言葉であるなら、この上司を処罰する事が出来るのでしょうか。 

コンプライアンスも守られていないし、一日4時間、5時間しか寝る時間も無いような業務が今まであり労働局に言いつければ困るのはあなた方です、とまで言われています。 

A:ストライキは団体行動権(争議権)の一形態として、憲法上の労働者の基本的権利です。

ストライキを理由にした解雇は、典型的な不当労働行為として無効とされます。

この不当労働行為の救済機関として、都道府県労働委員会や中央労働委員会が位置づけられており、所属する労働組合から救済申立を行うことで、会社による不法行為=不当労働行為を抑止できる可能性が出てきます。

「労働局に言いつければ困るのはあなた方」ということですが、そもそも労働組合法や労働基準法は労働者を守る法律です。

“困る”のはもちろん会社側です。

会社の違法行為を堂々と指摘し、是正を求めていきましょう。


]1506
<労働組合から抜けるべきか悩んでいます>

Q:会社に労働組合ができました。

私は職場内の友達の頼みだったので、労働組合に入る事になり署名をしました。

まだお金は払っていません。

そんな中、労働組合に入ってない親しい上司より、「小さい会社での労働組合は危険だ。早く抜けてほしい。会社側が何か仕掛ける予定なので、そうなる前に抜けなさい!」と必死に訴えてきます。

知り合いの弁護士も小さい会社で労働組合に入ってはいけない、などと言っていたと言われ、どうしていいかわからなくなりました。

労働組合に入れば守られるはずじゃなかったのか?

と今は疑問に思っています。

会社側から仕返しされるのも、とても怖いです。

会社で労働組合の人と労働組合に反対の人に挟まれ、あれこれ言われて、ぐちゃぐちゃな状態です。

こんな状態なら自分の身を守るため辞めた方がいいのでしょうか?

また、経営者に労働組合は潰される事はありますか?

労働組合に入った事で不利になる事がありましたら教えてください。

A:労働者が労働組合を作り、労働条件等の改善を要求して会社と交渉し、その実現のために行動することは、憲法28条が保障する労働者にとってとても大事な権利です。

そして、この権利を具体化するために制定されている法律が「労働組合法」です。

この法では、労働者は自主的に労働組合を組織し、また誰でも自由に労働組合に加入することができることを保障するとともに、会社がこの権利を侵害するような行為を「不当労働行為」として厳しく禁じています。

具体的には、@労働者に対し、労働組合員であることなどを理由として不当な扱いをすること、A労働組合に加入しないことを採用条件とすること、B理由なしに団体交渉を拒否すること、C労働組合の活動に介入したり、経費援助したりすること、などが「不当労働行為」に当ります(労働組合法7条)。

あなたがいま会社の上司などから受けている「労働組合は危険だ。早く抜けてほしい。会社側が何かしかける予定なので、そうなる前に抜けなさい!」などは、まさしくこの不当労働行為の典型であり、明らかな違法行為といえます。

労働組合つぶしのために不当労働行為ぎりぎりの画策を行う会社はよくありますが、これほど露骨な不当労働行為を行う会社は最近あまり聞きません。

会社は、相当焦っているのでしょうね。

労働組合は、労働者の労働条件や権利を守るために労働者が力を合わせて会社と交渉したり、また組合員の生活を守るために助け合う団体です。

あなたは会社の上司と組合員の間に挟まれ、組合を脱退しようかどうか悩まれておられるようですが、組合に残り、他の仲間と一緒に行動する道を選択することを期待します。

もちろん、労働組合法では労働者が労働組合に加入しなくてよいことも保障しています。

しかし、それこそ会社の思う壺です。

労働組合への結集力が弱ければ弱いほど、会社は意のままに労働者を働かすことができるわけです。

低賃金、長時間労働が当たり前となっている会社の多くで、労働組合が組織されていないことがそのことを物語っています。

また、あなたは解雇もあるのではと心配されておられるようです。

しかし、あなたが毅然としていれば、会社は理由もなく解雇することはできません。

会社が解雇などと言って来たら、そのことを労働組合の交渉課題に取り上げることで、会社の不当性を明らかにできるものと思います。

労働組合が経営者に潰されるのではとも心配されておられます。

組合が潰れるか潰れないかは、組合員の団結力の維持に掛かっています。

会社の不当な介入を許せば労働組合は潰れます。

潰されないためには、あなたが組合を脱退しないことです。

そして他の仲間にも脱退しないように働きかけることです。

それから、組合に入ったことで不利になることがあるかとお尋ねですが、有利なことはあっても不利になることはありません。

前にも触れましたが、不利になるような扱いは不当労働行為として労働組合法が禁じており、罰則規程もあります。

今後の対応ですが、上司からの働きかけは明らかに不当労働行為ですから、その事実を労働組合に話し、会社に対して不当労働行為を直ちに中止するよう要求して交渉する必要があります。

それでも会社が止めない場合は、労働委員会に訴えるということも必要かもしれません。

いずれにしても一人で悩まず、労働組合で話し合い、組合員が結束し、統一して行動することが何よりも大事であり、それこそが解決の早道だと考えます。



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