こんなときどうする
労働相談Q&A
 

 

 



05労    災


0501
<保険給付の期限>


Q:労災保険と認定して休業(補償)給付を受けているが、ケカが治らず、いつまで貰えるのか不安です。

A:業務上のケガで休業日が続く限り給付されます(退職後も同じ扱いです)。そして患部が固定化し、これ以上の回復の見込みがない場合は治癒とみなされ、休業(補償)給付は終了し、傷病(補償)年金・障害(補償)年金という年金に切り替わっていきます。

 よってケガが治り労働できる状態に回復するまでは継続して労災保険から金銭的な補償が受けられます。

 


0502
<単身赴任者の帰省移動中のケガは>

Q:家族と離れている単身赴任者が、単身赴任先住居と家族の自宅との間を往復する時、転んでケガをしました。定期的に帰宅していた様子ですが、通勤災害と認められますか?

A:単身赴任など家族と離れて生活している者が、単身赴任先住居と家族の住む家を往復する場合は、月一回とか週一回とかの反復、継続性がある時は家族の住む家を「住居」として取り扱うことになりますので、このケースは通勤災害と認められます。


0503
<仕事中のけがなのに会社が労災の申請をしてくれない>

Q:仕事中のけがなのに、会社が労災の申請をしてくれず、社会保険を利用するように言われています。違法行為ではないのでしょうか?

A:明かな違法行為です。本来、労災であるにも拘わらず、労災申請をしないという行為は違法です。会社が申請しないのであれば、管轄の労働基準監督署の労災課に申告すれば、会社に指導をしてくれますし、悪質であれば罰してくれることもあります。

 また、そもそも労災申請の「請求人」は被災労働者ですから、会社が被災事実の証明をしてくれなくとも本人が労災の手続を進めることが可能です。

 


0504
<労災で解雇は許されるか?>

Q:今まで労災により入院・療養のため休業していましたが、先日、 職場復帰のことで会社に電話したところ、働かせる部署がないということで解雇通告を受けました。職場復帰できないのでしょうか?

A: 労働基準法19条より業務上の事由により休業する期間及びその後30日間は、解雇する事が出来ません。労災認定を受けたことは「業務上の事由により休業した」と同義ですので会社が行った解雇は、違法解雇であり無効です。労働基準監督署に申告し会社側へ解雇撤回をもとめて下さい。

 


0505
<労災保険の保険料は従業員も負担するのか?>

Q:労災保険の保険料というのは、従業員も負担するのでしょうか?

 

A: 労災保険は会社が加入する保険ですので保険料は全額事業主が負担します。よって従業員の負担はありません。

 


0506
<不注意が原因なので労災扱いはできないか?>

Q:建設の仕事に従事していますが、業務中自分の不注意でケガをして入院しています。会社は、不注意によるケガなので、労災扱いはできないと言っています。不注意が原因の場合は、労災は認定されないのでしょうか?

A:余程の法違反がない限り、業務中のケガは業務災害として取り扱われるので、単なる不注意程度であるならば、労災認定をされる可能性はかなり高いものと判断致します。

 一度管轄の労働基準監督署の労災課に相談することをお勧めいたします。

 


0507
<労災での賃金補償額が平均賃金の6割でよいのか>

Q:先日、業務中に負傷して2週間ほど欠勤しました。会社が労災保険に加入していなかったため、治療費と賃金補償を会社が支払うことになりましたが、賃金補償額が平均賃金の6割しか支給されません。前の会社では労災保険を使って8割が支給されたことを伝えましたが、会社は労基法上6割の支給で問題ないと言われました。支給された補償額は正しいのでしょうか?

A:労災保険に加入していないのは違法行為ですが、労働基準法76条より「業 務上の負傷による療養期間は平均賃金の6割の休業補償を行わなければならない」と規定されていますので会社が支給した金額は合法です。

 労災保険からは平均賃金相当額の6割(「休業補償給付」)と平均賃金相当額の2割(「休業特別支給金」)との合計8割が支給されます。

 


0508
<通勤途中に右足を野犬に噛まれてケガをした>

Q:先日、通勤途中に右足を野犬に噛まれてケガをしましたが、通勤災害として認められますか?

 

A:被災労働者の恣意的行為が認められなければ、経験則上通勤経路に内在すると認められる危険が具体化したものとして通勤災害として認められています。 ( 昭 53.5.30  基収 1173 号)。

 従って、野犬に対して何もしていないのに噛まれたというのであれば、 通勤災害として認められると判断致します。

 


0509
<オーバステイで就労している外国人にも労災は認定されるか>

Q:不法就労の外国人が、作業でケガをしてしばらく働くことができません。オーバステイで就労している外国人にも労災は認定されるのでしょうか?

A:会社で働いている外国人労働者に対してはたとえオーバステイであっても労災保険が適用されます。

 


0510
<くも膜下出血で夫が死亡、労災として認定されるか?>

Q:夫が、最近数ヶ月間、特にここ2週間は毎日13時間あまりの仕事を続けていましたが、先日くも膜下出血で死亡しました。 労災として認定されるのでしょうか?

A:「過労死」の労災認定は病気発症前6ヶ月の内容を目安として判断します。ご質問のようなケースでは、労働時間と病気発症との因果関係が強いため過労死の認定がなされる可能性は高いと考えられます。

 


0511
<忘年会でケガは労災扱いになるか?>

Q:会社が主催し、経費も会社が負担した忘年会でケガをしました。労災扱いになるのでしょうか?


A: 会社が主催して忘年会等の社外行事を行うことが事業運営上必要なものと認められ、かつ、労働者に対して参加が強制されている場合に限り、業務行為となりその時のケガが労災扱いとなります。

 今回のケースは忘年会への参加が強制されているのかが大きな焦点となります。

 


0512
<パートやアルバイトには労災は認定されるか?>

Q:パートやアルバイトには労災は認定されるのでしょうか?

A:アルバイト・パート等の形態に関係なく会社で働く労働者には労災保険が適用されます。明らかな違法行為なので管轄の労働基準監督署に申告して下さい。

 


0513
<夕食の買い物のためスーパーへ寄ったので通勤災害は認められないといわれたが>

Q:退社して家に帰る時に事故にあいケガをしたので、会社に通勤災害を申請したところ、事故にあう前に夕食の買い物をするためにスーパーへ寄ったので通勤災害は認められないといわれました。通勤災害は認められないのでしょうか?

 

A:労災保険法において通勤途中の買い物は「日常生活上必要な行為」として規定されこの中断行為の前後は通勤として認めています。

 今回のケースはスーパーへ寄って買い物をしていたとしても、日常的に使っている通勤経路に戻ったので通勤は継続しており、その後事故が起きたのであれば通勤災 害として認められます。

 一度管轄の労働基準監督署の労災課に相談することをお勧めいたします。



0514
<A社で労災事故に遭い賃金補償を受けたがB社での賃金補償はされないがどうか>

Q:掛け持ちでA社とB社でパートタイムの仕事をしていますが、先月、A社で労災事故に遭い、賃金補償を受けることになりましたが、B社での賃金補償分はされないと会社に言われました。B社での賃金補償を受けることはできないでしょうか?

 

A:今回はA社で労災事故がおきたのでA社が加入している労災保険より給付が行われます。

 そしてB社と労災事故とは関連がないため残念ですがB社の労災保険から給付はおこなわれません。

 


0515
<海外での事故は労災扱いできないと言われた>

Q:旅行会社の添乗員をしているものですが、海外旅行のツアー添乗中に骨折をして、会社に労災申請をしたところ、海外での事故は労災扱いできないと言われました。海外の事故の場合、労災は認定されないのでしょうか?

A:海外での事故であっても、出向のように海外にある事業所で従事するのではなく、労災保険に加入している日本企業で雇用されて、業務により海外へ行く場合は出張扱いとなります。

 ご質問のケースでは、出張扱いになりますので、労災保険は適用されます。

 


0516
<公務員の死亡労災。遺族補償給付の受給権>

Q :村役場の公務員の夫が業務上労働災害で2年前に死亡しました。役場はまだ遺族補償の手続きを進めてくれません。近々再婚しますが、再婚しても受給はあるのでしょうか。子供もいます。

A : 公務員の場合の労災(正式には公務災害)の管轄は、東京都の場合は、

    地方公務員災害補償基金東京都支部(電話 03-5320-7362 )

 です。各県に同じような窓口があるはずです。

 公務災害基金の申請は遺族本人が直接行うことが原則です。

 遺族補償給付は5年で時効となり、休業補償給付は2年間で時効となります。再婚するまでの期間は受給権がありますので急いで手続きをしてください。再婚後は本人の受給権がなくなり、お子様に受給権が引き継がれます。



0517
<労災隠し>

Q : 会社が、仕事場でケガをして8日間休みましたが、会社はこれら職場内の日常的に発生するケガの労災申請をしません。ケガがたいしたことがないという理由です。いわゆる「労災かくし」にあたると思うのですが、摘発の法的根拠を教えてください。

A :  " 労災隠し " を摘発できる根拠は労働安全衛生法第 100 条「厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる」にあります。

 そして、同条に定める報告のうち、事業者に課している最も重要なものとして挙げられるのが「労働者死傷病報告」。労働安全衛生規則第 97 条に規定が認められます。

 「事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式第 23 号(注:これが「労働者死傷病報告」と 呼ばれる法令様式です)による報告書を所轄労働基準監督署長(注:会 社の所在地を管轄する監督署の長)に提出しなければならない」

 ケガの大小問わず仕事場でケガをしたということは労働災害ですので事業者は遅滞なく労働者死傷病の報告書を提出する義務があります。今回のケースは事業者が報告義務を怠っていることになりますので労働基準監督署に相談することをお勧めします。

 


0518
<労災に対する損害賠償は>


Q :労災に対する損害賠償は請求できないのでしょうか?

 

A :業務災害が発生した場合、労災の補償とは別に故意又は過失より他人に損害を与えた者に対して損害賠償を請求することができます。ただし2つの給付は調整されるため先に損害賠償を受けるとその価格の限度で労災の補償が減額され、先に労災の補償を受けると損害賠償が受けられないことをご注意ください。

 加害者が事業主の場合、多くの被労災労働者がこの権利を放棄しているのが現状です。特に在籍者であきらめるケースが多いようですが、堂々と請求すべきと考えます。

 自分で判断が難しい時は、地域のユニオンなどと相談されることをお勧めします。



0519
<過労自殺の労災認定>

 

Q :夫が過労でうつになり3年前に自殺で亡くなりました。労災扱いになるのでしょうか?

 

A : 過労死認定基準(血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準)によって労災の認定が判断されます。

  <過労死認定基準(一部抜粋)>

  @ 発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇したこと

  A 発症に近接した時期において、特に過重な業務に就労したこと

  B 発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと 

 上記の業務により業務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳・心臓疾患は業務上の疾病として取り扱う。

 過労死の労災認定は判断が分かれるところですので日本労働弁護団にご相談いただくことをお勧めいたします。 

    日本労働弁護団

  東京都千代田区神田駿河台 3-2-11 総評会館 4 階

  TEL:03-3251-5363 FAX:03-3258-6790

   無料電話相談 毎週月・火・木曜日 午後3時〜午後6時、

  毎週土曜日 午後1時〜午後4時 

  *ただし土曜日は「03-3251-5363」のみ

  URL:http://roudou-bengodan.org/



0520
<通勤労災>


Q : ショッピングセンターで働いている者ですが傷害事件に遭い、怪我をして1ヶ月近く仕事を休んでいました。

  <傷害事件の詳細>
19 : 30   店舗にて退勤のタイムカードを切る。
19 : 40 頃 着替えを終えて、店外へ。(普段ならばここで従業員出口に向かい、退館手続きをするが、その日は仕事が早く終わったため、そのまま同じショッピングセンター内のゲームセンターへ向かう)
19 : 55 頃 対戦ゲームを選び、ゲームをしたところ、負けた相手が逆上 し、私の顔面を膝で蹴る。店員、警備員によってその場を収めてもらい、病院で診断を受けたところ、眼窩底骨折と診断され、入院、手術となりました。
上司は「寄り道した為に起きた事件なので労災にはあたらない」という見解です。
退勤後、退館する前におきた事件なので、労災扱いになるのではないでしょうか?

 

A : 労災保険法において

 通勤災害…通勤途中の負傷・疾病・死亡

 通勤…住居と就業場所との合理的な経路・方法による往復

 そして経路を逸脱・中断した後は通勤としない

 と定義されます。

 仕事場から離れた時点で通勤は始まっているので帰宅中に同じ建物のゲームセンターへ寄り道したことは経路の逸脱となり労災の認定は難しいと考えられます。

 但し意見が分かれる難しい事案ではありますので、所轄の労働基準監督署の「労災課」へ相談されることをお勧めします。

 また通勤災害の対象となるということでしたら手続についても確認下さい。


0521
<健康保険で対応後の労災請求>


Q : 以前の職場(1ヶ月前まで勤務)で一年半前に怪我をしました。

傷病名は下顎部挫滅創でした。

会社に迷惑が掛かると思い、家の修理中にと病院に嘘の報告をし、労災にしませんでした。

軽く考えていましたが今現在シビレ、感覚が無く後悔しています。

今から労災に申請しても遅いですか?

少しでも労災適用でお金がもらえませんか?




A : メール拝見しました。

下顎部挫滅創とのことで、さぞかし大変な思いをされた事と思います。

当然後遺症が発生することも考えられる事故ですので、労災申請しなかったのはうかつでしたね。

一年半前の事故ということですが、労災の認定は職場を管轄する労働基準監督署が判断します。当時の事故と現在の症状の因果関係を証明できる証拠書類(医師の診断書や同僚の証言など)などがあれば労災に変更出来る可能性が高いと判断されます。

従って、当時の職場を管轄する労働基準監督署に直接出向き、事情を詳しく話して下さい。今回の相談事例は本来労災で処理されるべき案件ですので、きちんと対応してくれるのではないでしょうか。

もし、労災が認められば、今まで健康保険で対応してきたものと思われますが、その保険料の返還も必要になります。

その場合は一括返済は高額になりますので、分割返済など話合うことも可能と思います。

また、症状が出る前と後では手続の違いがあると考えれる事、また必要な書類や会社とのやりとりなど、いろいろ有りますので、労基署の指示に従って下さい。

また、貴方も当時の事故が起こった状況など、箇条書きにした書面を用意されておくと労基署の理解も早くなると思います。

もし、会社が職場での労災事故を認めないなど困るような事態が起こった場合はお近くにある1人でも入れる労働組合(ユニオン)に加盟し、その支援を受けて交渉することもできます。ユニオンには憲法や労働組合法によって保障されている団体交渉権などの労働三権がありますので、あなたの力になってくれると思います。

 


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