こんなときどうする
労働相談Q&A
 

 

 

 

01


0101
<賃金の過払い>


  <質問>
  労働相談センター様、メールで相談します。会社は私の賃金を間違って
  1万円払い過ぎていました。会社は過去にさかのぼって全額もどせと請
  求してきました。10年間分ですから莫大な額になります。気がつかなか
  った私にも責任はあるとは思いますが、全く釈然としません。
 
  <回答>
  メール拝見しました。ご相談の件は、民事上の問題となり、会社には請
  求する権利があり、労働者には返還する義務が生じます。この場合の時
  効は10年です。
  しかし、労働者側に悪意があったわけでなく、会社側のミスや確認不十
  分な点もあったわけですから、返還方法や返還額についてお互いに良く
  話しあって決めるべきと考えます。具体的には、1年2年等の分割(仮
  に裁判命令がでても賃金からの強制控除は四分の一以上は禁止されてい
  ます)や返金額も一部免除するとかです。
  どちらにしても、労働者の生活を脅かすおそれのないやり方の範囲とな
  っています。


0102
<女性には住宅手当は出せない?>

  <質問> 
  私は、30年勤続の看護婦の婦長です。常々疑問に思っているのですが、
  なぜ私たち女性には住宅手当がないのでしょうか。私のとるべき行動は
  どのようなことなのでしょうか?よろしくお願いします。
 
  <回答> 
  メール拝見しました。
1、 一般に、就業規則や賃金規定で、住宅手当を「世帯主」「主たる家計
の維持者」に限るという規定をしている会社は多いと思います。

 あなたも指摘するように現日本の実態は、住民票上の「世帯主」はほと
  んど男性です。その結果、「世帯主」との条件を付けられれば、最初か
  ら女性を住宅手当の支給から排除されてしまい、典型的な「間接差別」
  となってしまうと考えます。残念ながら、現状では、一般に、就業規則
  や賃金規定で、住宅手当を「世帯主」「主たる家計の維持者」に限ると
  いう規定をしている会社は多いし、法的には、今のところ、これ自体は
  「女性であること」を理由とするものにはあたらないとされています。
 
  しかし、三陽物産事件判決(東京地裁平6.6.16)は「世帯主とい
  う基準によって賃金に差をつけることは違法だ」という画期的な判断を
  示しました。ただ、この判決は「住宅手当」をテーマに争われたもので
  なく、非世帯主は25歳から賃金の一部を据え置くという差別を争った
  ものです。しかし、本来であればこのような考え方が住宅手当にも通用
  すべきであると私たちも考えますが、残念ながら、今の所はそうはなっ
  ていません。
  
  2、しかし、労基法はあくまで「最低」の規定です。労働者と会社が交
  渉し合意すれば、幾らでも労働条件を改善することは可能です。 
 
  最終的には労使間の力関係で決定します。労働者側の団結が強ければ、
  間接差別をやめさせ、全員に住宅手当を支給させることは充分に可能
  です。
  職場で労働組合を立ち上げ、その組合を通じて会社と交渉し勝ち取って
  いくことを追及したらどうでしょうか。


0103
<産休と育児休暇を取ったらボーナスがゼロになった>

  <質問>出産して、引き続き育児休暇をほぼ一年取って職場に復帰しま
      した。ボーナスがゼロでした。上司は「欠勤扱いだから出せな
      い」と言います。あきらめなくてはいけないのでしょうか。
     
     
  <回答>メール拝見しました。
      労基法第39条第7項は「産前産後の女性が、・・規定によっ
      て休業した期間は、・・出勤したものとみなす」と規定されており
      ますので、会社の「産休中は欠勤扱い」は明らかに違法行為と
      なります。また、平均賃金を算出しなければならない場合でも
      出産休暇中の期間はこの算定期間からはずさなければなりませ
      ん(同法12条3項2号)。
     
      育児休暇に対しても裁判判例があります。東朋学園事件 東京
      地裁判決(平10.3.25)「出産休暇及び育児休暇を欠勤扱いと
      して賞与を全額支払わない取り扱いは、労基法および育児休業
      法の趣旨に反し違法・無効である」
     
      以上の判決が示す通り、産休と育児休暇を理由とした賞与の全
      額ゼロという不利益取り扱いは違法となります。


0104

<賃金の遅配や一部賃金未払>


  Q:3ヶ月前から賃金の遅配や一部賃金未払があり、昨日、今月の支給
    日にも賃金は出せないという説明がありましたが、何時までに支払
    うという説明もなく会社が倒産するのではないかと不安です。私の
    賃金や退職金はどうなってしまうのでしょうか?

 A:確かに、このような状況ならば倒産の危険性は十分に考えられます。
    倒産の場合、賃金及び退職金については『労働福祉事業団』による
    『未払賃金の立替払い制度』を受けることができるとは思いますが、
    全額は支払われません。このような場合、会社に労働組合があれば
    早急に団体交渉を申し入れて現状の話し合いを行い、労働債権の財
    源について確保することを考えるべきですし、労働組合がない場合
    には即座に作って団体交渉を申し入れるべきではないかと思います。


0105
<外国人労働者だから低賃金は許されるか>

  Q:私の友人は外国人留学生ですが、アルバイトをしております。他の
    日本人アルバイトより時給額が著しく低いのですが、問題はないの
    でしょうか?

 A:労働基準法第3条『均等待遇』に「使用者は、労働者の国籍、信条
    又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件に
    ついて、差別的取り扱いをしてはならない。」と定めておりますの
    で、たとえ不法就労の外国人労働者に対しても、使用者が差別を行
    う事は禁止されております。 


0106
<深夜勤務の割増賃金は?>

  Q:私が勤務する会社では午後10時を超える深夜勤務をする場合、残
    業手当の2割5分増の他に1割がプラスされ、合計3割5分増で支
    給しています。以前勤めていた会社では、深夜勤務に対して2割5
    分がプラスされていましたが、どちらが正しいのでしょうか?

 A:労働基準法第37条「時間外、休日および深夜勤務の割増賃金」で
    は、午後10時から翌日午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認
    める場合においては、その定める地域または期間については午後11
    時から午前6時まで)の勤務に関しては時給単価の2割5分増を支
    給することを義務づけています。(たとえ所定労働時間であったと
    しても支払う義務あり)したがって、会社が深夜勤務に関する割増
    賃金を1割しか支払っていないというのであれば、違法行為です。


0107
<13時から22時までが所定労働時間ですが>

  Q:私は、13時から22時までが所定労働時間(うち1時間の休憩あ
    り)で、時給千円です。残業の場合、千二百五十円の時給になりま
    すが、友人に聞いたところ、22時以降の勤務の場合、深夜手当も
    付くはずだと言っていました。これは法律で決められていることな
    のでしょうか?それとも友人の会社だけのことなのでしょうか?

 A:法律で決まっています。
    1日の労働時間が8時間を超える場合には、2割5分の割増賃金を
    つけなければなりませんし、22時から翌日午前5時までの深夜時
    間に勤務した場合には、先の時間外労働の割増にプラスして、やは
    り2割5分の割増賃金を付けなければなりません。従って、貴方の
    場合、22時以降に働いた分は、5割増の千五百円の時給をもらっ
    ていなければ会社の違法行為となります。


0108
<最低賃金>

  Q:私は東京都の出版会社にオペレーターとして勤めていますが、給与
    総額を時給換算すると、時給は750円なので会社に低すぎるので
    はないかと言ったところ、社長は東京都の最低賃金は739円なの
    で法的には問題ないと言っておりますが、納得がいきません。何と
    かならないのでしょうか?

 A:現在の東京都の最低賃金は、会社が言うように739円ということ
    になっていますが、極端に地域最低賃金に貼りつかせた賃金水準が
    維持されるようであれば、法律を逆手に取った”悪意”を読み取れ
    ます。労働組合を結成する等、賃金額を含めた労働条件の向上を会
    社側と交渉していくことが肝要でしょう。


0109
<未払賃金の立替払い制度>

  Q:前回、『労働福祉事業団』による『未払賃金の立替払い制度』の話
    が出ていましたが、私の勤めている会社は、社長が夜逃げしてしま
    いましたが、このような場合にも適用されるのでしょうか?

 A:労働者名簿や賃金台帳及び未払賃金を具体的に証明できるものや退
    職金規程が記載されている就業規則等、労働者に対する未払いの賃
    金・退職金が確認できれば、労働基準監督署の認定により『未払賃
    金の立替払い制度』の適用を受ける事ができます。
   
 


0110
<休業手当は本当に賃金の60%しか補償されない?>

  Q:会社の都合で仕事を休まされた場合、賃金の60%しか補償されない
  のですか?
  <A>
  使用者の責任によって会社を休まされた場合、労働基準法第26条では、
  平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならないとなっ
  ています。しかし、民法第536条第2項では、「債務者が債務の履行
  をなし得なかった場合でも、それが債権者の責に帰すべき事由によるも
  のであるときには、債務者は反対給付を受ける権利を失わない」として
  います。

 この場合、債権者=使用者、債務者=労働者、債務の履行=労働、反対
  給付=賃金となりますので、「労働者が労働をしなかった(できなかっ
  た)場合でも、それが使用者の責に帰す事由(使用者の責任)であれば、
  労働者は賃金を得る権利を失わない」ということになり、100%の賃
  金補償を受ける権利があるということになります。

 しかし、「特約」を結んでいればこの限りではなくなりますので、就業
  規則や雇用契約書の賃金を定めた項目に労基法第26条の文言が定めて
  いる場合には、ここでいう「特約」があったと解されると思います。

 確たる「特約」がない場合、民事的請求権は100%あると解せられま
  すので、必ずしも100分の60を補償すればいいという問題ではない
  ということです。ですからこのような場合、民法第536条第2項に基
  づいて、100%の請求をすることができることになります。


0111
<罰金の天引き>

  <質問>
  「スーパーのレジ係りです。先頃、経営者がレジの計算が合わないから、
  今後は「罰金」を定めるといいだしました。また、レジで計算が合わな
  い時は1回ごとにその差額と罰金を賃金から差し引くというのです。確
  かに人によってはとてもルーズな方もいますので、労働者側に過失が全
  くないとも言えません。どう考えたらいいのでしょうか。
 
  <回答>
  メール拝見しました。経営側の完全な違法行為です。
 
  1.会社が罰金の「額」をあらかじめ設定している場合は、明らかに労
  基法16条違反です。また、債権と賃金を相殺する場合は、労基法17
  条違反です。また、労働者の過失に対する「制裁規定」の減額処分等に
  該当するかどうかですが、制裁規定は、「就業規則」の中で制裁の内容
  ・基準が厳密に定められていなければなりません。就業規則の中の制裁
  規定に厳密に書いてあるのでしょうか。就業規則がなかったり、制裁規
  定に書かれていない場合は労働基準法89条違反です。また、仮に就業規
  則の制裁規定に書かれていても、その中身が、労基法に違反している場
  合、たとえば、労基法91条(減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半
  額を越えてはならない等)に違反していれば、当然無効となります。ま
  た労基法24条(賃金は、全額支払わねばならない)違反です。
 
  2.労働者の過失により会社に損害を与えた場合、会社が労働者に損害
  賠償を請求することは出来ます。しかし、その場合も、労働者本人の過
  失が証明されている場合のみです。また、労働者に過失がある場合でも
  労働者が10割を補償することなどまずありえません。


0112
<裁量労働の残業代>

  <質問>
  「総合職で裁量労働制ですが、遅刻・早退で賃金カットもありますし、
  仕事の内容も毎日上司の指示でやっています。休日出勤命令もあります。
  それなのに残業代も休日手当もでません。残業も月100時間はやりま
  す。本当に合法なのでしょうか」
 
  <回答>
  あなたの会社は総合職に対して専門職の裁量みなし時間制を適用して
  いると考えられますが、1人ひとりの「労働」が本当に「裁量労働」で
  あるかが問題となります。
 
  労基法38条の3では「業務の遂行の手段・時間配分に関して、労働者に対
  して使用者が具体的指示をしてはいけないこと」となっています。つま
  り早退や遅刻を理由とする処分や賃金カットは許されません。また、会
  社や上司が、労働者に対してその都度「あれやれ、これやれ」「何時か
  ら何時まで」と指示する場合は「裁量労働制」とは言えません。また、
  数人でプロジェクトチームを組んで業務を行っている場合も裁量労働制
  に該当しません。
 
  つまり、裁量労働制は、労働者個人が労働時間も仕事の仕方も自分の
  「裁量」で決める制度ですから、「休日出勤命令」などは「裁量労働時
  間」ではありません。

 また裁量労働制を行う場合「みなし労働時間協定」の労使協定を結ばね
  ばなりません。仮に一日10時間のみなし労働時間協定を結んでいる場合
  は、一日2時間分に関する36協定の締結も必要です。また、みなし協
  定と36協定は労基署に届けなければなりません。また、厚生労働省は
  残業時間の上限を月45時間としていますので、ふたつの協定共それを守
  らなければなりません。

 また、労働契約や就業規則に、残業・裁量労働制・みなし労働時間につ
  いて記載しなくてはなりません。その就業規則の中身を周知徹底させな
  ければ無効となります。就業規則がない場合なども無効となります。

 また、裁量労働制でも、休日と休憩は法定どおり付与されなければなり
  ませんし、深夜労働・休日労働に対しては、それぞれ手当てを出す必要
  があります。


0113
<強制貯金>

  <質問>
  住み込みの新聞配達をしています。オーナーが毎月の賃金から5万円強
  制的に社内貯金と称して取り上げます。退職する時に返すというのです
  が。

 <回答>
  労働基準法18条では使用者による「強制貯蓄」の禁止を謳っています。
  労働契約などの定めにより労働者に支払われるべき賃金の一部を強制的
  に天引き、会社管理に係る預金口座に吸い上げ、労働者の自由意思で生
  活費等を引き出すことに縛りをかける、それが結果として労働者の「足
  留め策」として悪用される−この条項は、こうした事態を防ぐための規
  定。退職に当たり預金解約を渋るようであれば、これは使用者による立
  派な労働者の「足留め」と解されますので、法18条に牴触するという
  ことになりましょう。 
 
  いずれにしろ、労働者の同意(個々の同意や労使協定等)もなく預金通
  帳を会社が管理することは、法18条及び個人情報との絡みからも不適
  切との誹りは免れません。ましてや給与明細も未発行、通帳にも目を通
  すことができず賃金額を確認できないとなりますと、ことは重大。法違
  反の疑いも濃厚ですから、強行に通帳の返還と過年度分も含めた賃金明
  細の即時発行を要求してください。
 
  個人的折衝に抵抗があれば、所轄労働基準監督署(会社の所在地を管轄
  する部署)へ「申告」(告発すること)することで行政機関を巻き込む
  か、地域合同労働組合(ユニオン)へ加入され会社との団体交渉で解決
  への道筋をつけるか、ということになりましょう。


0114
<パートの夏の一時金>

  <質問>
  勤続10年のパートです。パートといっても正社員とまったく変わらな
  い労働時間と仕事内容です。正社員には支給されるボーナスが無いこと
  にガマンできません。パートはボーナスをあきらめなくてはいけないの
  でしょうか。

 <回答>
  メール拝見しました。ボーナスに関しての質問ですが、あなたが入社時
  の契約として「ボーナスを支給する」と約束されているなら、当然支払
  を受ける権利があります。

 就業規則(賃金規定)で賞与について「パートやアルバイトには支給し
  ない」と明記されているかどうかもポイントです。仮に明記されている
  場合には、なぜそうした差別待遇になっているのか、会社側はきちんと
  説明する責任があります。

 そもそも正社員にはボーナスを出しているのに、パートやアルバイトに
  は一切出さないというのは法的な問題はさておき不当な扱いであるのは
  間違いありません。正社員と同じ仕事をしているのに雇用形態を理由に
  格差を設けるのは、大きな問題があります。非正社員の賃金差別につい
  て「およそ人は、その労働に対して等しく報われなければならない、と
  いう均等待遇の理念が存在している」として、差額賃金相当の損害賠償
  を命じた判例もあります。

 しかし残念ながら雇用形態で格差を設ける企業が多いのも現実です。そ
  うした状況を変えるためには、まずは職場で待遇の改善を求めていくの
  が大切です。賃金を含めた労働条件は、使用者と労働者が対等の関係で
  決めるべきものだ、と労働基準法で定めています。

 ただ1人で会社に物申すのは困難なので、同じ不満や疑問を持つ同僚と
  一緒に訴えることをおすすめします。憲法や法律で守られている労働組
  合ならもっと効果的です。1人でも加入できる地域の労働組合(ユニオ
  ン)に入って、会社と交渉する方法があります。必要なら紹介するので
  改めて連絡してください。

 あなたの疑問は真っ当なものだと思います。健闘を祈ります。


0115

「業績悪化」を理由とする一方的な賃金カット>

 <質問>
  私の夫の会社での問題なのですが、地方の中小企業ということもあり、
  会社の都合でいいように変えられてしまいます。その中でも大きな変化
  が、
  ・業績の悪化ということにより、同意なく賃金(約総額の10%ほど)
  をカットされてしましました。

 こういった会社の体制は法律上許されるものなのでしょうか?
  よろしければ何かヒントをいただけると、助かります。
  申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

 <回答>
  メール拝見しました。
  ●業績悪化を理由とする賃金のカットなど、労働条件を切り下げる場合
  は、労働者全員の同意を得るのが原則で、一方的に行うことはできませ
  ん。不利益変更に同意しない労働者にも新しい労働条件を適用するには、
  不利益変更に「高度の」合理性が認められなければいけません。

 ●この「合理性」の具体的な判断基準は過去の裁判例より確立されたも
  ので、以下の7項目です。

 1.変更の必要性の内容・程度
  実施しなければ経営状態に重大な悪化が及ぶなど経営上の必要性が認め
  られなければならない。 
  2.変更により労働者が受ける不利益の内容・程度
  賃金が大幅に減額されるなど不利益の程度が大きい場合は、たとえ高度
  の必要性が認められても変更が無効とされる可能性が高い。
  3.変更後の就業規則自体の相当性
  変更後の労働条件の水準が合理的なものであるかどうか。
  4.代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況
  例えば、既存の労働者については、経過措置をとったり、退職金増額や
  雇用期間延長など他の労働条件の改善に努めて、不利益を縮小するよう
  努力することが必要。
  5.労働者及び労働組合への説得など交渉の経緯
  変更に当たり、労働者側に十分説明を行ったか、労働組合と誠実に労使
  交渉を行ったかどうか。
  6.他の労働組合又は他の労働者の対応
  会社が誠意を尽くして労働者に変更の必要性などを説明し、労働者・労
  働組合と十分な話し合いを持ち、その結果、ほとんどの者から理解を得
  て変更に関し同意してもらっているか。
  7.変更内容と同業他社・他産業の水準との比較など社会的妥当性
  同業他社に比べ賃金水準が高く、賃金コストが他社との競争において重
  大な負担となっているような場合は、合理性が認められる1つの要素と
  なる。

 以上の7項目の諸事情を総合的に勘案した上で、不利益変更の合理性が
  判断されることになります。

 ●賃金は重要な労働条件の1つであり、不利益変更が高度の必要性に基
  づいた合理的な内容のものでなければ、変更に反対する者には適用でき
  ません。
  人件費を削減しなければ会社経営が危うくなるなど、高度の必要性が認
  められる場合も、労働者が受ける不利益が著しく大きいと合理性が認め
  られません。

 ●高度の必要性があって、代替措置の実施など他の労働条件の改善に努
  め、誠意を尽くして十分に説明し納得しうるものであるかどうかが重要
  になります。
 
 


0116
<社内パーティの賃金>


  <質問>
  会社が、就労後に月一回社内パーティを行います。業務命令で会場の設
  置や料理の支度などに狩り出されますが、賃金はでません。内容もパー
  ティとは名ばかりの社長や専務の訓辞や営業の話だけです。

 <回答>
  メール拝見しました。
  使用者の支配拘束下にあって指揮命令に服している場合には、労働時間
  とされます。一般には「教育・研修・訓練」に当てはまります。

 1.業務命令で出席を命ぜられた場合。
  2.職務内容に関するもの。
  3.職場環境や規律の維持向上。
  4.安全衛生や労基法等職場環境の保持。
  5.参加が労働者の自由任意でないこと。
 
  このような場合で時間外労働が行われた場合は、当然残業代は支払わね
  ばなりません。
  労働基準監督署http://www.campus.ne.jp/~labor/kankatu.html


0117
<建設現場警備員の休業手当>

  <質問>
  建設現場の警備員です。日給月給制の雇用契約書もあります。
  3年勤めた毎月25日勤務で派遣されていた職場の仕事がなくなったとた
  ん、会社はわずか7日間しか仕事をくれず、月4万6千円しか支払われま
  せん。これでは到底暮らしていけません。

 <回答>
  世の中の建設現場の警備員の多くは、仕事のある時しか賃金は貰えない
  と思っている方が多いです。

 しかも、本件の場合は、れっきとした日給月給制の雇用契約書もありま
  す。

 確かに日給月給制では、自分から休んだらノーワークノーペイで賃金は
  引かれますが、会社都合で休む場合は、労基法第26条に基づき会社が最
  低でも6割の休業手当をださなければならないと決められています。

 堂々と主張して下さい。ひとりで不安であれば、職場の仲間と相談して、
  地域のユニオンに加入して解決をめざす方法もあります。
  勿論、労働基準監督署へ労基法違反で申告することもできます。
 
 


0118
<過払い―返還の義務は>

  <質問>
  会社がこの2年間、私の手当てを1万円余計に間違って支払っていたので
  返せと請求してきました。私には全く落ち度がないのに、24万円返せ、
  返せないと給料から差し引くというのです。納得できません。

 <回答>
  ご相談の件は、民事上の問題となり、会社には請求する権利があり、労
  働者には返還する義務が生じます。この場合の時効は10年です。

 しかし、労働者側に悪意があったわけでなく、会社側の確認不十分な点
  もあったわけですから、返還方法や返還額についてお互いに良く話しあ
  って決めるべきと考えます。具体的には、1年2年等の分割(賃金の控
  除は四分の一以上は禁止されています)や返金額も一部免除するとかで
  す。どちらにしても、労働者の生活を脅かすおそれのないやり方の範囲
  となっています。また、賃金から会社が勝手に一方的に差し引くことも
  違法となります。


0119
<管理職に深夜手当はでないのか>

  <質問>
  管理職です。夜中まで働くことがよくあります。上司に深夜手当はでな
  いのかと聞いたところ管理職にはださなくていいとの返事でしたが、法
  律ではどうなっていますか。管理職には残業代もなく、大変です。

 <回答>
  メール拝見しました。

 深夜手当に対する適用には例外はありません。
  管理職・変形労働時間・裁量労働時間等々全てに適用されます。また、
  「管理職」と呼ばれていても必ず残業代を支払わなくてもよいわけでは
  ありません。

 労働基準法では、「監督若しくは管理の地位にある者(管理監督者)」
  は労働時間等に関する規定の適用除外を受けますが、労基法上での正確
  な意味で「管理監督者」であるかどうかは、「一般的には、局長、部長、
  工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場
  にあるものの意であるが、名称にとらわれず、出社退社等について実体
  的に判断すべきものである」(労働厚生省)となっています。

 つまり、職場で管理職と呼ばれていて、部長/課長などと名称がついて
  いて、役職手当がでていても、「労務管理の権限を与えられておらず、
  経営者と一体的な立場にあるとは認められない人」、もしくは「出退勤
  を自分の裁量で管理していない人=管理職であっても、タイムカードな
  どで出退勤を管理されている人」は、法律では管理監督者とは認められ
  ません。

 上記の要件に該当しない「管理職」の場合は、会社は残業代を支払う義
  務が発生します。当然休憩や休日、労働時間に関する規定も適用されま
  す。
  勿論、「管理監督者」であっても深夜手当は支給しなければなりません。


0120
<契約を取れずに辞めるなら給料を返せと会社に言われた>

 <質問>
  営業員です。契約が一本も取れませんでした。実家の都合で退職届けを
  出したところ、会社から「契約を取らずに辞めるなら今までの給料を返
  してもらう」と言われました。
 
 
  <回答>
  メール拝見しました。以下参考にしてください。「契約をとらず急に辞
  める場合は給料を返還」などということが、本当に会社の就業規則に定
  められているかどうかをまずチェックしてください。もし定められてい
  ないのなら、会社側が「給料を返せ」と言ってきても何の根拠もない話
  なので、通常の退職手続きをとられたらいいと思います。

 つぎに本当に定めてあった場合です。それが労働者の退職を足止めさせ
  るためなら労基法16条の「違約金や賠償予定の禁止」に反します。あ
  らかじめ金額を定めて過怠金や罰金をとるという制度を定めることは違
  法なのです。あるいはそれが何らかのペナルティーとして課していると
  しても労基法91条の「減給制裁の制限」に反します。

 労基法92条で「就業規則は、法令または労働協約に反してはならない」
  と定めてあるように、序列は「法令>労働協約>就業規則」です。つま
  り労基法に違反している就業規則は無効です。
 
  あなたが働いた分の給料は賃金として全額支払ってもらう権利がありま
  す。仮にあなたが退職することで損害が発生したと会社側が主張したと
  しても、損害賠償権と賃金支払い債務を相殺することは許されません
  (労基法24条)。もしきちんと賃金を支払わない場合は、会社の所在
  地を管轄する労働基準監督署に「労基法違反申告書」を提出し、是正措
  置をとってもらいましょう。

 賃金を支払ったうえで会社側が改めて損害賠償をあなたに請求してきた
  場合、裁判で勝てるか負けるかは詳細がわからないので一概には言えま
  せん。ただ、そもそも会社側が損害賠償をあなたに請求するために必要
  な退職と損害の発生との因果関係、損害賠償の範囲などの裁判上主張、
  立証は極めて困難だと思われます。

 念のため労働者側の立場で活動している弁護士(日本労働弁護団)の無
  料電話相談窓口を下記に紹介します。よろしければ相談してください。
 
  日本労働弁護団
  電話 03−3251−5363
  受付 毎週火曜日と木曜日午後3時から午後6時