![]() 労働相談Q&A |
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0101
A :会社のいいなりになる必要はありません。しかし、働く側も規定の給料がきちんと払われているか確かめる必要はあります。会社を信じてチェックしないこともあり得ますから釈然としないのは尤もですが、民法703条 ( 本人が間違いを知らなかった ) 、704条 ( 間違いを知っていた ) によって、過払い分については返還義務が生じてきます。 就業規則等で詳細な定めがある場合はそれが優先しますが、ここではあなたの様に「過払いの事実を知らなかった」場合の原則についてお答えします。 返還義務は民法167条(債権等の消滅時効)で10年間遡って生じます。したがって、労働者に大きな負担となる場合も多いでしょう。 対策として、分割払いの回数を多くするとか一部免除を要求するとか、あなたの生活を圧迫することのないように会社側とよく話し合って決めるべきです。元々会社のミスで起こったのですから、会社が無理を言うのなら労働組合(ユニオン)や労働弁護団に相談するといいかもしれません。 ところで、逆に賃金額が少なかった場合の労働者の請求権ですが、この場合は2年を過ぎた分は時効になり、請求権は無くなってしまいます(労基法115条)。 0102
Q : 私は、 30 年勤続の看護婦の婦長です。常々疑問に思っているのですが、なぜ私たち女性には住宅手当がないのでしょうか。私のとるべき行動はどのようなことなのでしょうか?よろしくお願いします。 A :就業規則や賃金規定で、住宅手当や扶養手当などを「世帯主」や「主たる家計維持者」に限っている会社があります。あなたが、それに該当するか否かは判別できませんが、「女性には支給しない」のであればそれは差別です。 世の中には様々な家族形態があるのですから、独身女性の単身世帯、あるいは一人親(母子)世帯に対しても、「世帯主」に関する手当は当然支給しなければなりません。 元々、「世帯主」「主たる家計維持者」に限っている規定にも問題があるのではないでしょうか。 夫婦共働きでどちらかにしか出さないというのであれば、その選択権は労働者側に任せるべきであって、妻に対する支給を会社が拒否することも差別です。 「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し事業主が適切に対処するための指針(H 18.10.11 )」というやたらに長い厚労省告示に、雇用における男女の均等待遇の義務が記されています。 あなたの場合、就業規則の定めがそのような法令に抵触している可能性が高いので、まずは病院経営者に是正を求めることから始まるでしょう。難しい場合は、労働局の雇用均等室に相談して是正を求めるか、職場の仲間とともに労働組合を作り、その力で就業規則を変えるようにした方がよいと考えます。 0103
Q :出産して、引き続き育児休暇をほぼ一年取って職場に復帰しました。ボーナスがゼロでした。上司は「欠勤扱いだから出せない」と言います。あきらめなくてはいけないのでしょうか。 A :産前産後の出産休暇や育児休暇中の賃金について、労働基準法には支払義務の規定はありません。残念ですがボーナス支給の「法的義務」もないことになります。 しかし、就業規則などである程度支給することを決めている会社もあります。会社によって異なる実態にあると言えます。 東朋学園事件の最高裁判決( H15.12.4 )では、育休を取得した結果として欠勤日が多かった労働者に対し、ボーナス「ゼロ」としたのは公序良俗に違反するので無効とされました。ただし、ボーナス支給に際して出勤率を計算する場合、産前産後休業を欠勤扱いすることは労働法が保障した権利を失しなわせるので違法だが、育休を取得した期間に応じて、減額対象してよいという判決です。 出産休暇中や育児休暇中には、健康保険または雇用保険から給付金が支給されるのですが、出産は女性に限られたことですので、そのことではいわば間接差別的な扱いになっていることは確かですし、出産・子育てを社会全体で支える意味からも、今後の運動で法改正させていくことが重要と考えます。 法改正を待つまでもなく、就業規則や社内規定を変えるよう、労働者の力で会社に要求していくことが必要なのはいうまでもありません。 なお、有給休暇の取得条件の勤務日数計算に際しては、産休や育休を欠勤として算定することは出来ないと規定されています(労働基準法39条)。
0104
A :賃金の遅配や未払いがあった時は、その事実をまず証拠として確保することが重要です。正常な時の給料明細と現在の給料明細、銀行振込の通帳、出勤簿、タイムカードなどです。就業規則や給料支払規則なども大事です。 それに加えて、遅配や未払いを認めさせる事実説明書などを会社に出させ、支払い義務を明確化させておくことが重要です。会社との話し合いの経過メモも有力な証拠になります。 退職金を含む賃金の遅配や未払いがあった時は、異常事態と考え、一刻も早く労働基準監督署に相談して申告したり、労働組合や弁護士に相談することが肝要です。 仮に倒産となれば、労働債権(賃金を受け取る権利)確保のため早急に行動しなければなりませんし、場合によっては、国(「労働福祉事業団」)の賃金立替制度へ申請することも必要となります。 立替制度には金額の限度や申請期限がありますし、賃金請求権もそのままにしておくと、2年を過ぎた分は時効となってしまいます。倒産の場合は時間との勝負です。借金の取り立てに銀行や取り立て屋が動き出す前に、一刻も早く行動を起こすことが必要です。
0105
Q :私の友人は外国人留学生ですが、アルバイトをしております。他の日本人アルバイトより時給額が著しく低いのですが、問題はないのでしょうか?
A :仮に留学生に就労資格がなくても、労災保険法や労働基準法、最低賃金法などの労働法規の適用が保障されています。 ILO(国際労働機関)を中心に労働に関する国際ルールが決められていますし、労働基準法3条(均等待遇)は、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」となっています。 お近くのユニオンに相談して、労働組合を立ち上げて交渉したり、労基署に申告するなどの援助してあげて下さい。労基署や労働局などの公的機関は、外国人の相談もわけ隔てなく受け付ける法的義務があります。 ただし就労資格に関する事項については、ご友人の滞在に悪影響を及ぼしかねない場合もあるので慎重にしなくてはなりません。研修と称して外国人をタコ部屋に隔離して、違法な低賃金で強制労働させている実態も報道されています。問題が明るみになれば、即外国に送還して事なきを企む受け入れ団体も国内に多数存在しています。 友人に不利益や危害が及ぶ恐れがある場合は、行動を移す前に信用できる NPO 法人や、外国人の人権を扱っているユニオンに相談することをお勧めします。 0106
Q :私が勤務する会社では午後10時を超える深夜勤務をする場合、残業手当の2割5分増の他に1割がプラスされ、合計3割5分増で支給しています。以前勤めていた会社では、深夜勤務に対して2割5分がプラスされていましたが、どちらが正しいのでしょうか?
A :労働基準法37条(および37条に基づく政令)では、時間外割増や休日割増と深夜割増をそれぞれ別個に規定しています。時間外労働の割増率は25%以上、休日割増は35%以上。深夜割増は(時間外労働や休日労働の割増率とは全く関係なく)25%以上支払うよう規定されています。 ですから残業が深夜に及ぶ場合には、時間外割増と深夜割増の両方の率を加えて計算しなければなりません。よって割増分だけで、時間外割増25%+深夜割増25%=50%以上となります。(深夜労働が法定労働時間内である場合は、深夜割増分25%のみの加算となります。) 休日労働が深夜に行われた場合は、休日割増35%+深夜割増25%=60%以上の割増になります。 (なお、休日時間外労働という概念は労基法にはありません。法定休日に 1 時間のみ働いた場合も、 12 時間働いた場合も、休日割増35%が適用されます。従って、休日割増35%+時間外割増25%+深夜割増25%=85%という考え方は、現行の 労基法にはありません) あなたの場合、深夜割増が実質1割(=10%)にすぎないので、明らかな違法です。今後のためにも、労働基準監督署に申告し、過去分も含めて支払わせることが重要です。
0107
Q :私は東京都の出版会社にオペレーターとして勤めていますが、給与総額を時給換算すると、時給は935円なので会社に低すぎるのではないかと言ったところ、社長は東京都の最低賃金は932円なので法的には問題ないと言っておりますが、納得がいきません。何とかならないのでしょうか?
A :最低賃金は地域別に規定されており、現在東京都は932円( 2016年 10 月 1 日より。厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」参照)となっています。これはパート労働やアルバイトを含め、どの様な雇用形態であろうと保障される最低限の額です。 ところが労働者の運動が弱いために、会社側に圧倒的に有利な力関係にある日本の現状では、「最低賃金だけ出せばいいのだ」と、最低賃金制度が低賃金の「隠れ蓑」にされている場合が往々にしてあります。 あなたの場合、社長の言うことは一見正しいように見えますが、時間外割増・休日割増・深夜割増を含めた平均が910円とすれば、最低賃金制に抵触している可能性があります。月額基本賃金÷月間所定労働時間=時間単価が907円をクリアしているか、一度厳密に計算してみて下さい。この場合月額基本賃金とは、基本給に限りません。住宅手当・家族手当・通勤手当などを除き、役職手当・精勤手当・職種手当など、毎月定額で払われるほとんどの手当が該当します。 コンビニ等のパート労働者の場合、昼間の時給に比べ、深夜割増時間帯の時給が25%以上増しになっているか細かく計算することも大切です。近年、大手のコンビニはコンプライアンスをうたい文句に最低賃金クリアを語っていますが、実態は疑問だらけです。 最低賃金があたりまえのような昨今、パートの人達独自で労働組合を作り、最低賃金制度を真に「人として生きることができる賃金」に変えていくことも必要です。 なお、職種別の最低賃金もありますので、念のため調べることを勧めます。
0108
Q :前回、『労働福祉事業団』による『未払賃金の立替払い制度』の話が出ていましたが、私の勤めている会社は、社長が夜逃げしてしまいましたが、このような場合にも適用されるのでしょうか?
A :社長が夜逃げをしたのですか、お気の毒です。至急に「倒産と同様」だとして、実態や経過を示す資料、出勤簿やタイムカード、賃金明細、未払いを証明する書類などをそろえて、同僚の皆さんと労働基準監督署に出向いて、「未払い賃金立て替え払い制度」の申請をするのがよいと思います。 知識に疎く不安でしたら、お近くのユニオン(一人でも入れる労働組合)や労働弁護団(無料相談制度あり)に相談して、力を借りるのが最善です。 未払い賃金を確保するため、会社の資産を早急に確保・差し押さえする必要もあります。その場合、社長の家屋敷などの個人財産も処分させないよう手を打たなければならないので、一刻を争います。 0104 も参考下さい。
0109
Q :会社の都合で仕事を休まされた場合、賃金の 60 %しか補償されないのですか?
A :あきらめる必要はありません。 労働基準法26条(休業手当)は、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない」となっています。この規定を曲解して、「 60 %払えば労働者を休ませて構わない」と考える悪徳経営者も存在します。 一方、民法536条(債務者の危険負担等)の第二項は、「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない」となっています。この場合、債権者=会社、債務者=労働者なので、同条は「会社の責任で、労働者が労働の義務を履行できなくなった時は、労働者は労働の対価としての賃金を受け取る権利がある」という意味です。従って、労働者は 100 %の賃金を請求する権利があることになります。 会社と労働者の間には、それぞれ対等な人格であることを前提とした「雇用契約」が結ばれています。労働者は、決められた曜日の決められた時間帯に労働を提供し、会社はその対価として賃金を払う契約になっているので、労働法に特別の規定が無い限りは、私人と私人の間の関係を定めている民法の規定によることになります。 労基法の「使用者の責に帰すべき事由」と、民法の「債権者の責めに帰すべき事由」は、一見同じように見えますが、厳密に言うと、労基法は労働者保護のために制定されているので、民法と少し解釈が異なり、完全イコールではありません。また、労基法の条文は「百分の六十以上」なので、「 100 %」もあり得ることになります。 このことから、 60 %に限らず、 100 %受けとることが法的に可能ですし、「債権者の責めに帰すべき事由」の内容次第で、実際に 100 %受け取った例は沢山あります。 しかし黙っていては何も得られません。権利を行使するもしないもあなた次第です。 権利を行使する勇気が無ければ、法律は絵に描いた餅にすぎません。労働組合を通じた交渉で、あるいは弁護士を通じて、実現の道を探ってください。 ただし、就業規則や労働契約書などで、「60%払えばよい」ことが決められている場合は注意が必要です。民法536条の内容にかかわらず、「60%しか請求しない」特約があらかじめ約束されていると解釈されてしまう危険性があるからです。
0110
Q :「スーパーのレジ係りです。先頃、経営者がレジの計算が合わないから、今後は「罰金」を定めるといいだしました。また、レジで計算が合わない時は1回ごとにその差額と罰金を賃金から差し引くというのです。確かに人によってはとてもルーズな方もいますので、労働者側に過失が全くないとも言えません。どう考えたらいいのでしょうか。 A :労働者が会社に損害を与えた場合、会社は損害賠償を請求することは違法ではありません。しかし、会社が労働手段を用意し、それを基にして労働者が働くことで利益を生み出しているのですから、リスクを労働者のみに負わせることはできません。多くの判例もそれを認めていません。たとえ労働者に過失があっても、全額を負わせることは通常出来ないのです。 また、損害額が明らかであっても、給料から差し引くことは労基法24条(賃金の支払い)で認められません。会社は給料を全額支払った上で、それとは別に損害賠償を請求するのがルールです。あらかじめ罰金の額を決めておくことも、労基法16条(賠償予定の禁止)違反になります。 損害賠償額の算定に当たっては、労働者の職務上の地位や責任の重さ、故意や過失の程度だけでなく、会社が損害を防ぐために十分な措置(職場設備や労働者への教育など)を行ったかどうかも考慮されます。 損害賠償とは別に、懲戒処分として給料の減額制裁を受けることがありますが、その場合は就業規則で厳格に定めておく必要があります(労基法89条)。その場合でも、労働者の生活が守られるよう、一回の減給額は制限されています(同91条)。 まずは経営者にこちらの主張をぶつけ、反応を見ることが第一ではないでしょうか。
0111
Q :総合職で裁量労働制ですが、遅刻・早退で賃金カットもありますし、仕事の内容も毎日上司の指示でやっています。休日出勤命令もあります。 それなのに残業代も休日手当もでません。残業も月100時間はやります。本当に合法なのでしょうか? A :文面から察する限り、あなたの働き方が裁量労働制に該当するかどうか非常に疑問です。裁量労働制は、労働者個人が労働時間も仕事の仕方も自分の「裁量」で決める制度です。 労基法38条の3では「業務の遂行の手段・時間配分に関して、労働者に対して使用者が具体的指示をしてはいけないこと」となっています。従って、早退や遅刻を理由とする処分や賃金カットは許されません。 また、会社や上司が、労働者に対してその都度「あれやれ、これやれ」「何時から何時まで働け」と指示する場合は「裁量労働制」とは言えません。数人でプロジェクトチームを組んで業務を行っている場合も、通常は裁量労働制に該当しません。 裁量労働制の場合、労働時間については、「みなし労働時間」の労使協定を結ばなければなりません。仮に一日10時間のみなし労働時間協定を結んでいる場合は、一日2時間分の時間外労働について、36協定の締結も必要です。36協定は労働基準監督署に届けなくてはいけないし、労働契約や就業規則に、残業・裁量労働制・みなし労働時間について記載し、労働者に周知徹底することが求められています。 また、厚生労働省は残業時間の上限を月45時間としていますし、深夜労働・休日労働に対しても、それぞれ割増手当を払わなければなりません。 あなたの会社は、数え切れないほどの法違反を犯していることが推察できます。一度労基署の門を叩き、相談されることをお勧めします。相談は匿名でも可能です。
0112
Q :住み込みの新聞配達をしています。オーナーが毎月の賃金から5万円を強制的に社内貯金と称して取り上げます。退職する時に返すというのですが、こんなことが許されるのでしょうか?
A :あなたの財産である「強制貯金」を、退職時に返してくれるかどうかという疑問もさることながら、「強制貯金」は法的に許されるのかが問題です。 労働基準法18条(強制貯金)では、労働者との協定がない限り、使用者による「強制貯金」は明確に禁止されています。それは、労働者が自分の意思で財産を管理して生活する権利を損ない、結果として、労働者を会社に「足留め」することで「強制労働」につながるからです。このため、強制的な社内貯金に対しては、6ヶ月以下の懲役または罰金刑が規定されています。 今は、戦前の丁稚奉公や身売り女工の時代ではありません。オーナーにはっきり要求して、直ちに強制貯金を止めさせましょう。 それと同時に、今までの貯金通帳や印鑑を返却させ、給料明細の天引き額を確認して下さい。天引き額と通帳の額が一致していない場合は、「窃盗」に値する行為なので、刑事事件にも該当します。 個人でオーナーと折衝することに抵抗があれば、所轄労働基準監督署に「申告」したり、お近くのユニオン(労働組合)に相談することをお勧めします。
0113
Q :勤続10年のパートです。パートといっても正社員とまったく変わらない労働時間と仕事内容です。正社員には支給されるボーナスが無いことにガマンできません。パートはボーナスをあきらめなくてはいけないのでしょうか。
A :入社時に「ボーナスを支給する」と言われていれば、契約が存在することになるので、当然支払を受ける権利があります。 しかし、ボーナスの支払い義務に関する法律はないので、会社の発言や約束が何もなかった場合、単純な法的解釈ではボーナスを支給しなくても良いことになってしまいます。 ところがあなたは10年も同じ会社で、正社員と同じように勤めていらっしゃる。差別賃金の典型といってよいと思います。 そもそも正社員にはボーナスを出しているのに、パートやアルバイトには一切出さないというのは、法的な問題はさておき、不当な扱いであるのは間違いありません。正社員と同じ仕事をしているのに雇用形態を理由に格差を設けるのは、大きな問題です。非正社員の賃金差別について、「およそ人は、その労働に対して等しく報われなければならない、という均等待遇の理念が存在している」として、差額賃金相当の損害賠償を命じた判例もあります。「同一価値労働、同一賃金」が世界の基本で、 ILO の国際条約でもあります。 また、パートやアルバイトで雇用契約上は有期契約になっている場合であっても、何度も契約更新しているので、正社員と同じ待遇にすべきと主張することが出来るし、正社員への登用を要求することも出来ます。 ( 改正パートタイム労働法 ) 正社員と同じ労働時間であることから、パート労働(短時間労働)ではなく、契約社員としての地位があるものと見なすことができれば、さらに正社員登用を求めやすくなるでしょう。 賃金を含めた労働条件は、使用者と労働者が対等の関係で決めるべきもの、と労働基準法は言っています。ただ、1人で会社に物申すのは困難なので、同じ不満や疑問を持つ同僚と一緒に要求することをおすすめします。憲法や法律で守られている労働組合ならもっと効果的です。1人でも加入できる地域の労働組合(ユニオン)に入って、会社と交渉する方法もあります。 有給休暇や社会保険でも差別されていませんか?東京労働局発行の「しっかりマスター労働基準法」という冊子も参考になります。ネットから無料ダウンロードできます。 行動に移される場合は改めて連絡してください。あなたの疑問は真っ当です。健闘を祈ります。
0114
Q :夫の会社での問題なのですが、地方の中小企業ということもあり、会社の都合で労働条件がいいように変えられてしまいます。その中でも大きな問題は、業績の悪化という理由で、社員に同意なく賃金(総額の約10%ほど)をカットされたことです。これは法律上許されるものなのでしょうか?
A :業績悪化が本当で、かつそれが深刻な状況であっても、労働者に同意なく賃金カットなどの不利益変更をすることは原則として出来ません。 判例では、例外的に許され、その場合にも高度の合理性が必要とされています。 ・不利益変更をしないと会社が倒産するなどの危険性を避けられない。 ・不利益変更が労働者の生活に重大な影響を与えない程度であること。 ・不利益変更を段階的に行うなどの経過措置、不利益変更の代替・復旧措置(例えば退職金の割増しなど)などで、不利益を最小限に留める努力を行ったかどうか。 ・労働組合を含む労働者側に十分な説明をしたか。たとえ説得が不調に終わっても同意を得る努力を会社側はしたか。 ・不利益変更に殆どの労働者から同意があったか。 ・就業規則上で合理性があるか。 同業他社との比較で社会的に妥当性があるか。 以上が、不利益変更が例外的に許される場合の判断基準とされています。 あなたの場合、社員への説明や同意に欠ける不利益変更で、違法である可能性が高いと思います。社員全員の生活がおびやかされることなので、労働組合を作って会社と交渉することが最善です。労働組合を作るにあたっては、事前に相談にのってくれる団体が各地に存在するので、連絡くだされば紹介いたします。
0115
A :一般に「教育・研修・訓練」と呼ばれているもの、それ以外にも、社内パーティーや宴会、休日の運動会・社内旅行・お花見など、勤務時間外に行われるイベントは多数あります。 質問のように「業務命令が明らかな場合」や、「使用者の支配拘束下にあって指揮命令に服している場合」は、労働時間に該当するので賃金支払い対象となります。 逆に、「本人の自由意志による参加」が明確に通知された場合は、労働時間といえないのが原則です。 問題は、業務命令か自由参加かがアイマイにされたまま、「全員参加が慣習だから」と言われて「断りきれない」で参加したような場合です。 そういう時であっても、 1.職務内容に関係し、職務の延長と判断できるもの。 2.職場環境や規律の維持向上になるもの。 3.安全衛生や職場環境の保持になるもの。 このような場合は労働時間となることがあり、時間外に行われた場合は、当然残業代の対象となります。 親睦会が主催する運動会や花見など、職務と直接関係がない場合であっても、親睦会からの脱会が自由か否か、上司の強制命令の度合など、状況次第で労働時間とされる場合もあります。労基署や裁判の場では、各々のケースに応じて、実質的な主催者は誰か、参加募集のやり方、参加の自由度、などを勘案して判断されることになります。 自由参加が建前とされ、賃金が払われない場合であっても、出席しないことを理由に、上司から嫌味を言われたりイヤガラセを受ける場合は、パワハラで訴えることも可能です。 労働基準監督署のホームページを参照下さい。 http://www.campus.ne.jp/~labor/kankatu.html 0116
Q :建設現場の警備員です。日給月給制の雇用契約書もあります。毎月 25 日勤務で3年間派遣されていた現場の仕事が最近なくなりました。今は月に7日しか仕事をくれないので、給料は月 4 万 6 千円にダウンしました。これでは到底暮らしていけません。あきらめるしかないのでしょうか?
A :あきらめる必要はありません。 あなたは日雇い労働者ではなく、れっきとした月給制の労働者です。しかも3年もの間、月に25日働いてきた実績があります。 突然7日に減らされたのでは生活ができないので、権利を堂々と主張しましょう。 建設現場で働く警備員の方々は、「自分は日給制で、仕事のある時しか賃金は貰えない」と思っている人が多いようですが、そうとは限りません。 ハローワークの求人票に書かれている用語の定義は以下のようになっています。 (東京都ハローワークのホームページより引用) ●月給制は、1ヶ月単位で算定される定額で支給されるものです。 ●日給月給制は、1ヶ月の定額ですが、年休以外の欠勤分は差引かれます。 ●日給制は、1日の定額で労働日数分が支給されます。 ●時間給制は、1時間の定額で労働時間分が支給されます。 このように、月給制は「完全月給制」とも呼ばれ、どれだけ休んでも毎月定額の給料が保証されます。他方「日給月給制」は、毎月の基本給額など給料は定額ですが、欠勤した日(または時間単位、分単位で計算)があれば,その日数分だけ引かれる制度です。したがって日本の多くの 労働者は、実は「日給月給制」なのです。 従って、自分の都合で欠勤した分の賃金が引かれてもやむをえない場合がありますが、会社都合による休業の場合、会社は最低 6 割の休業手当を払わなければなりません。(労基法26条) また、会社都合の休業の場合、民法では、賃金の全額を請求できることになっています。(民法536条2項) では、「日給制」の労働者の場合、あきらめるしかないのかと言えば、そうとは限りません。 当初の約束(労働契約)がどうだったのか、就業規則(従業員を10人以上雇う事業所は就業規則の作成義務があります)にどう書かれているかが重要です。 採用時に、『月20日以上の仕事があるから』と言われたとすれば、それが労働契約であったことになります。その場合は「日給月給制」の労働者と同様に、労基法26条の休業手当や、休業日数分の賃金全額を請求できます。その際、ハローワークの求人票が残っていればレッキとした証拠になります。 たとえその様な約束がなかったとしても、既に3年の間、毎月25日の勤務が継続され、それで生計を立ててきた事実の重みがあります。裁判では、日給月給制の労働者と同等の身分が認定されたり、今後も継続するだろうという「期待権」が認められる可能性もあります。 また、月に25日も勤務していたのですから、仮に「日給制」であったとしても月給制の労働者と同様、有休休暇を取得する権利が認められています。 健康保険・厚生年金・雇用保険の加入も義務付けられています。過去2年間にさかのぼって加入することができるので、すぐに労基署やハローワーク・年金事務所などに行って確認されるようお勧めします。 労基署に申告してもダメな場合は、一人でも入れる地域のユニオンに加入して解決をめざす方法もあります。
0117
Q :管理職です。夜中まで働くことがよくあります。上司に深夜割増手当について聞いたところ、管理職には払わなくてよいとの返事でした。法律はどうなっているのでしょうか。管理職は残業代もなく大変です。
A :労働基準法では、「監督若しくは管理の地位にある者(管理監督者)」は労働時間に関する規定が適用除外されることになっています(労基法41条)。 しかし、深夜割増は、管理監督者や農業・水産業など、労働時間の適用をうけない労働者にも払わなければなりません。変形労働時間制や裁量労働制の労働者も同様です。 管理監督者も含めて国民は全員、健康的で文化的な生活をする権利があり、深夜の作業は健康に良くないので、極力さけるよう事業主は配慮しなければならないのです。 また深夜割増に限らず、時間外手当の対象となる「管理職」も数多く存在します。むしろ、出退勤を自分で決めることができない「名ばかり管理職」が増えているのが実情です。 部長や課長、店長などの肩書きが付いていても、「労務管理の権限を与えられておらず、経営者と一体的な立場にあるとは認められない人」や「出退勤を自分の裁量で管理していない人」は、管理監督者とは認められず、労働時間に関する規定を適用しなければなりません。 従って時間外手当を受け取る権利のある「管理職」は、世の中に多数存在します。 今、スカイラーク・マグドナルドの店長など「名ばかり管理職」の人達が立ち上がり、労災認定や地域のユニオンを通じて不払い残業代を獲得するなど、多くの成果を上げています。 お近くのユニオンの門を叩き、相談することをお勧めします。
0118
Q :営業員です。入社以来契約が一本も取れませんでした。それとは別の理由で、たまたま実家の都合で退職届けを出したところ、会社から「契約を取らずに辞めるなら今までの給料を返せ」と言われました。返す必要があるのでしょうか。 A :額にもよりますが、返す必要はまずありません。 「契約をとらずに辞める場合は給料を返還する」という内容が、会社の就業規則に書いてあるか、まずチェックしてください。書いてなければ、「給料を返せ」と言われる筋合いは全くありません。 従って、通常の退職手続き、つまり「退職願い」でなく「退職届け」を民法627条が規定する退職2週間前までに提出すればよいだけです。 仮にその様な規定があったとしても、「違約金や賠償予定の禁止(労基法16条)」に違反する可能性が高いです。あらかじめ金額を定めて違約金や罰金をとること自体が違法なのです。 また、契約を一本も取れなかったことが、何らかのペナルティーに該当するとしても、「減給制裁の制限(同91条)」に抵触する場合があります。 労基法では、法令>労働協約>就業規則の順に優勢順位が決まっている(92条)ので、就業規則のうち労基法に違反する部分は自動的に無効となります。 また賃金は、「全額を、通貨で、直接本人に、毎月1回以上、一定の期日に支払う(同24条)」と定められています。税金や社会保険料など法律で控除することが認められている額を除いて、賃金の全額を受け取る権利が労働者にあります。 従って、あなたの退職により損害が発生した場合であっても、損害賠償金と賃金を相殺することは許されません。会社は賃金を全額支払った上で、改めてあなたに対して損害賠償の請求をしなければならないのです。 賃金が全額きちんと払われない場合は、会社の所在地を管轄する労働基準監督署に申告して、是正措置をとってもらいましょう。 会社があなたに賃金を全額支払った上で、改めて損害賠償請求してきたとしても、裁判で損害賠償が認められるのは故意または重大な過失などに限られています。しかも裁判では会社側が、損害の額、損害とあなたの行為との因果関係、などを立証しなければなりません。その際は、当時の会社状況・あなたの職務上の地位等も勘案されるので、入社直後の営業員が賠償することは通常ありません。まずは会社に対して、あなたの権利を堂々と主張することをお勧めします。 仮にあなたに重大な落ち度があり、会社が損害賠償で提訴する可能性がある場合は、念のため労働者側の立場で活動している弁護士(日本労働弁護団)の無料電話相談窓口を下記に紹介します。 日本労働弁護団:電話 03−3251−5363 ・5364 受付 毎週月曜日、火曜日と木曜日午後3時から午後6時 毎週土曜日 午後1時〜午後4時 *ただし土曜日は「03-3251-5363」のみ)
0119
Q :ガス会社に勤務しています。宿直という制度があり、勤務時間が終わると翌朝の勤務が始まるまで、会社の携帯電話を持たされ、会社にかかってくる電話の対応をします。時には、夜中でも現場に出向き対応することもあります。宿直開けの日もそのまま仕事をします。ひと月に平日 10 回、祝祭日に3日ほどの宿直があり、その日は 24 時間携帯電話を持って対応しなければなりません。見返りとして、1日あたり平日 1500 円、休日 4000 円が支給されますが、携帯電話がいつ鳴るかわからないのでリラックスできません。これは法律上問題ないのでしょうか?
A :「宿直」とは名ばかりで、「労働時間」として時間外手当を払わなければならないケースが数多く存在します。 1、労基法上の「宿直」とは、 「本来の業務から完全に解放された状態の勤務をいい、<構内巡視、文書・電話の取り次ぎ、待機>など、ほとんど労働する必要のない勤務」(労基法施行規則 23 条、発基 17 号、基発 150 号通達。医療機関は基監発第 1128001 号等参照)となっています。 そのような正規の「宿直」であれば、法で定める「労働時間、休日及び休憩」に関する規定は適用されず、時間外手当や休日手当の対象になりません。ただし、そのためには労基署に届けて許可を得ることが前提です。 労基署に届けて許可を得た場合、宿直手当として、一回につき、その労働に従事する人の一日の平均賃金の三分の一以上の額を支払うとされています(厚生労働省 基発 90 号)。一日 1500 円は安すぎると思うので計算してみて下さい。 2、 労基署の許可がない場合、 「宿直」ではなく、拘束したすべての時間を実労働として計算しなければなりません。今の日本の多くの職場では、「宿直」あるいは「休日当番」と称して、実際は昼間と変わらない実労働を強要されています。この場合は、到底「宿直」とは言えず、「残業」「深夜労働(夜勤)」「休日労働」に該当します。 3、警報出動などの場合、 労基署の許可がある場合でも、宿直中に一時間でも警報出動や来客応対など「実労働」をした場合は、その分の残業代や深夜手当など、割増手当を払わなければなりません。 大星ビル管理の警備員の夜勤を、「労働時間」と認定した最高裁判決は有名です。あきらめずに労基署もしくは労働組合に相談することを勧めます。
0120
Q :未払い給与を払うよう会社に要求しましたが、いっこうに払う気配がありません。賃金の請求は過去2年分まで可能と聞きましたが、いつから計算して2年なのでしょうか? このままでは、2年はあっという間に過ぎてしまいます。賃金請求権の時効の計算方法を教えてください。
A :賃金請求権の時効は一般に2年とされていますが(労基法115条)、この場合の時効は、法的権利が消滅するまでの期間のことで、「法的に請求できる権利は、請求可能となった時から計算して2年間で消滅する」という意味です。 「請求可能となった時」とは、一般的には「未払いが発生した時」で、「あなたが未払いに気がついた時」ではないとされているので注意が必要です。 従って、放っておくと未払い賃金に対する請求権は、毎月どんどん消滅していくので、今すぐ時効の進行をストップさせないと損をすることになります。 1、時効を中断させる方法 時効により権利が消滅するのを防ぐ手段として、時効中断の制度があります(民法147条以下)。 権利が時間の経過と共に消滅するのをストップさせることを「時効の中断」と呼んでいます(一度中断すると、タイマーはゼロにリセットされて、振り出しに戻る)。 例えば、給料の支払い日が毎月25日の場合、2年前の5月分の給料は今年の5月25日で時効になり、法的には、請求権を失うことになります。従って期限がせまっている場合には、とりあえず、時効を中断させておくことが必要です。 裁判で請求すれば時効は一旦中断され(タイマーはゼロにリセットされ)、判決が出た後に、タイマーは再びゼロからカウントを始めるのです。従って、判決が出た後、取り立てや差押え等の措置を取らずに放って置くと、判決から2年後に時効が完成して請求権を失うことになります。 時効を中断させるためには、裁判提訴に限らず、3つの方法があります。 1.請求(裁判上の「請求・支払督促・和解の呼出しなど」の他に、裁判外の請求である「催告」も含まれます。) 2.差押・仮差押・仮処分 3.承認 費用や時間、手間などを考えると、裁判所に提訴する必要のない、「承認」と「催告」が手軽かつ有効です。 「承認」とは、会社が自ら「支払い義務の存在」を認めることで、最も簡単で費用もかからない方法です。社長が、「分かった。金が出来たら払うから待ってくれ」と言う様な場合です。時効が完成した後でも、一旦「承認」があった場合は「時効による利益の放棄」と見なされるので、2年分に限らず、過去の全期間の支払い義務を会社が認めたことになる場合があります。 サラ金業者が「利子分として 1000 円だけでも払ってくれ」というのは、過去の全借金を「承認」させるためのもので、ズルいやり方ですが、一応は法にかなっています。「借金の一部分」や「利息」を払ってしまうと、借金の存在を「承認」したことになってしまうのです。また、「今金が無いから少し待ってくれ」「金が無いから少しまけてくれ」と言った場合も同様です。一旦「承認」してしまうと、その時点で時効の進行は中断してしまいます。 労働者の要求に対して、会社が未払い賃金の存在を認めた場合も同様です。 「催告」は「請求」の中に含まれますが、「催告」後6ヶ月以内に他の中断方法をとらなければ時効中断の効力は失くなります。また「催告」は、 1 回限り有効と民法に規定されているので注意が必要です。時効の期限が迫っており、裁判上の請求をする時間的余裕がない時は、とりあえず「催告」によって時効を中断させておき、後からゆっくり提訴すれば時効の完成を防ぐことができるのです。 「催告」の方法は、内容証明郵便で請求すればよいので簡単です。 2、過去何年分でも請求可能 また、未払い賃金の請求を過去2年分に限定する必要はありません。最近、労働者の裁判闘争の成果として、良い判例がいくつかあります。 残業代不払いは労基法違反の不法行為に当たるので、「時効は、被害者が加害者を知った時から3年」(民法724条)に該当し、過去3年分の支払いを命じた判決があります。 また、「 O 年 O 月以降の不払い残業代の請求」とだけ書いた団体交渉申入書を労働組合が送ったことが、民法上の「催告」に当たるとして、申入書を送付した時点で時効の進行が中断したと解釈し、過去2年以上の賃金請求権を認めた判決もあります。 「時効2年」はあくまで労基法上の賃金請求権が時効消滅する期間に過ぎないので、あきらめる必要はありません。2年に限らず、過去何年分でも請求するのは労働者の自由ですし、労働組合を通じて請求した結果、過去5年分を支払わせた例もあります。 不払い賃金の請求は、時間との闘いという一面を持っているので、必ずしも前もって詳細に計算する必要はありません。釣り糸を垂らさなければ、決して魚は釣れないのと同じで、言わなければ何事も始まりません。おおざっぱな計算で構いませんので、今すぐ堂々と、過去の全期間分を請求しましょう。
0121
A :満額受け取れる可能性もあるので、泣き寝入りするのは早すぎます。 1、就業規則や社内規定がある場合 賞与は「賃金の一部で、後払い的性格のもの」と見なされる場合が通例です。会社が規定に違反して賞与を減額した場合や支払いを拒否した場合、労働者は労基署に「賃金未払い」で申告することができます。労基法上は、労働の対価である限り、賞与も「賃金」とされているからです(労基法11条)。 会社は規程に従って賞与を支給する義務があるので、就業規則を見せない時は、労基署に申告すれば、労基署は閲覧させるよう会社を指導します。労基署に保管してあるものを見せてくれることは通常ありません。就業規則を労働者に見せる義務は会社にあるからです。 会社に就業規則を見せる義務はあるのですが、配布義務は規定されていないのでコピーさせない会社が見受けられます。その場合でもメモを取るのは自由なので、ゆっくり時間をかけて全文をメモすることは可能です。閲覧に時間制限することは違法です。 2、賞与に関する会社規定が無い場合 あなたの賞与が労基法上の「賃金」と認定され、また社会保険料の対象とされるものであっても、「査定の仕方は自由」という会社の主張が通り易い面があります。 ただし、査定のやり方が従来の社内慣習を無視し、特定の者に対するネライ打ち差別のような場合、民法の公序良俗に違反する場合は、「査定権の濫用」として、提訴することが可能です。あなたに仕事上の失敗等がなければ、減額される理由はないので堂々と主張することが大切です。 また、大幅な利益の上がった期末等に、不定期に「酒肴料」などの名目で一時金を支給する会社があります。「酒肴料」は、所得税の控除義務はあっても、社会保険料の対象外とされるケースが多く、社長の「おめぐみ」的なものとされています。従って賃金ではないので、労働者の請求権は一般には認められていません。 まずは会社に対して、あなたの主張を堂々とぶつけることが必要です。それでダメなら資料を用意して労基署に申告することを勧めます。その後、状況によって、弁護士か地域のユニオンに依頼して交渉するのが得策ではないでしょうか。
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Q :会社は、建設業です。ほぼ毎日違う現場に行き、今日は昼勤・明日は夜勤・その次昼勤など不規則な勤務体系をしています。今まで、タイムレコーダーは無く、手書き(任意)のタイムカードを提出して時間の管理をしていましたが、今年初めてタイムレコーダーを設置しました(現在打刻式のタイムレコーダーと手書きのタイムカードの2種類あります)。
A :労基法違反の文章であっても、配布すること自体は「労基法違反」ではない、文章内の労基法違反に該当する部分が無効とされるだけ、というのが行政の解釈です。 文章の内容が実行された時に始めて、「労基法違反」が成立するというわけです。ただし、労働時間記録を作成・保存しておくことは労働者の義務ではなく、会社の義務であることに疑いありません(労基法109条)。 以上の前提で以下回答します。 1、賃金カットが、いわゆる「罰金」の場合 タイムカードを打刻しない者に対して、あらかじめ罰金の額を設定する場合は、明らかに労基法「労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない(16条)」違反です。 2、賃金カットが、懲戒規定による「減給処分」の場合 「タイムカード不履行は減給処分に該当する」主旨の文章が、就業規則になければ処分することはできません。その様な規定がない場合は、無効な処分となる場合があります。 また、就業規則に書かれていても、賃金カットの額が労基法 91 条(減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を越えてはならない等)に違反していれば、違法な減給処分になります。 3、「レコーダーに打刻のない時間外手当は払わない」という場合 この場合は状況にもよるので、労基法違反と認定されるかどうか一概に言えません。しかし、会社がタイムレコーダーと手書きのタイムカードの両方を、労働時間記録として認めている場合は、どちらか一方であっても記載がある分の手当を払う義務があります。タイムカードを職場慣習として容認してきた場合も同様で、レコーダーに刻印が無くても、タイムカードに記載があれば認定しなければなりません。 請求しても払わない場合は、労基署に申告すべきですが、タイムレコーダーとタイムカードのどちらの記録が正しいか、証明が必要になる場合があります。 毎日の労働時間記録は、時間外手当の問題だけでなく、過労死など労災認定にも関係するので、克明に記録する習慣をつけておくことが大切です。できるなら、当日の作業が終わった時に、同僚や上司と終了ミーティングで語り合いながら日誌に記入するのが最善です。
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Q :当社では、家族手当・住居手当は既婚者のみ支給されます。私は 39 歳の女性で一人の子供と実母と生活しており、両名とも扶養家族として、社会保険でも認められています。総務の責任者に「子供を扶養してるのに、独身ということで手当が出ないのはおかしい」と質問したところ、「就業規則でそう決まってるから」という返事だけで、はっきりした理由はないようでした。家族手当や住居手当は他の賃金と違い、会社の就業規則で支給するしないを決めることができるとのことですが、納得しかねます。女性差別、未婚家庭に対する差別ではないでしょうか?
A :本当に腹立たしいことですが、「世帯主」に支給するという就業規則の規定が、いつのまにか男性のみに支給されるようになり、女性差別になっている例が多くあります。家族手当や住宅手当は、労基法上は賃金の一部ですから、公平に差別なく、支給しなければなりません(労基法4条:男女同一賃金の原則)。 お子さんとお母さんを扶養家族とし、「主としてその収入によって世帯の生計を支えている(人事委員会規則7−109、住居手当4条)」以上、あなたはレッキとした世帯主です。従って、会社は家族手当や住宅手当を払わなければいけません。 同規則によると、住宅手当の世帯主は、住民票と必ずしも一致する必要ないとされています。住民票の場合、収入要件は不要で、ある程度自由意志にまかされているからです。 家族手当や住宅手当に関して、女性差別をテーマとして多くの裁判が争われています。男性のみ支給するのは、労基法4条違反で無効である、という有力な判例もあります。 まずは、会社に不服申し立てを行ってはどうでしょうか。「不服申し立て制度」、もしくは、男女雇用機会均等法により設置が義務付けられている社内の相談窓口があるはずです。 それがダメな場合は、各都道府県に設置されている労働局雇用均等室へ相談し、行政機関を通じて解決を図ることをお勧めします。雇用均等室は申請があった場合は、調査・助言・指導・あっせん等をすることが義務付けられています。 東京の場合 東京労働局雇用均等室 東京都千代田区九段南1丁目2 − 1 九段第3合同庁舎14階 03-3512-1611 〒 102-0074 行政機関で解決できない場合は、労働組合を通じて、それも無理なら職場に在籍したまま裁判を起こす方法もあります。 いずれにしろ、「既婚者のみの支給」や「男性のみの支給」は、手当本来の目的に反するので、支給基準を改善させることが必要です。会社のバックには、古来続いてきた旧社会の因習が控えているので、なみたいていの努力では実現できないと思います。会社の同僚と共同して、また社外の応援を得て、腰を据えて取り組まれることを期待いたします。
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Q :私の会社は7月25日にボーナスが支給されます。毎月の給料は15日締めの25日払いです。私は7月15日をもって退職するのですが、上司から「ボーナスは支給されない」と言われました。ボーナスが支給されるのは支給日に在籍している人が対象だそうです。しかし、入社した時もらった資料に、その規定はありません。5年いる上司も初耳だと言っていました。他の会社のボーナス規定はどうなっているのでしょうか?支給日に勤務していないと、絶対もらえないのでしょうか?
A :支給日前に退職しても、ボーナスが支給される場合があります。あきらめるのはちょっと待って下さい。 労基法では、いわゆる「ボーナス」も、「賃金」とされています。 「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対象として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」(労基法 11 条) そうはいっても、この規定以外にボーナスの支給要件に関する法律はないので、通常は、就業規則や労使協定などの規定がポイントになります。 「支給日に在籍しているもの」「 O 年 O 月 O 日から O 年 O 月 O 日まで勤務した者に対し、勤務期間に応じて支給」等々、会社によって異なります。 また、上記労基法の規定や社会慣習から考えて、一般にボーナス(賞与)は、「労働の対価の後払い」的性格のものと考えられており、判例では、「労働の対価の後払い」に加えて、「将来に対する期待料」も加味しているとされています。 いずれにしろ、ボーナスも賃金の一部である以上、在籍期間あるいは勤務期間に応じた分は受け取る権利があるはずです。就業規則などの規定がない場合は、なおさらです。 また、定年退職者や会社都合による解雇の場合は、本人が退職日を決めることはできないので、支給日以前に退職しても、勤務期間に応じて支給すべきという判例が数多く出されています。 あきらめずに、会社に請求してはどうでしょうか。会社が支払いを拒否するなら賃金未払い(労基法違反)で労基署へ申告できます。労基署は、就業規則等の規定の有無、その内容、社内慣行等を調査して判断を下すはずです。
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Q :派遣社員として6年間、同じ派遣先の同じ職場、同じ職種で働いています。最初の契約時に昇給が無い事を聞いていましたし、半年ごとの契約更新の際の契約書にもそれが記載されているのですが、なにより現在の仕事が気にいっているので、これまで昇給について要望するような事はしてきませんでした。しかし、同じ職場で働く他の派遣会社で昇給があったと聞いたので、私も自社(派遣元会社)の担当者に聞いてみたのですが、やはり昇給は無いとの事でした。
1.労働基準法の規定について 残念ながら労基法には「昇給」そのものについて規定はありません。 しかし、労基法第2条は「労働条件は、労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものである」としています。ですから本来は、労働者と会社が対等の立場で話し合って賃金を決めるべきですが、労働者がひとりの場合、会社は絶対といってよいほど、この規定を守りません。そもそも、労基法の趣旨を知る経営者は少ないのが日本の実態です。 しかし、集団的労使関係(1対1でなく、会社対労働組合のような関係)の場合は、会社も労基法を守らざるを得ません。 つまり、同じ境遇にある労働者が結束して労働組合を立ち上げるか、労働者が1人であっても地域の労働組合に加入した場合は、会社は労働組合との交渉に応じる義務があるので、団体交渉で昇給を獲得できる可能性があります。 その際、派遣先の「正社員」の人達、同じ境遇にある他の「派遣社員」の人達と共同できれば最善です。 2.労働者派遣法の規定について 質問によれば、あなたの賃金や身分について、いくつか大きな問題があります。派遣社員として6年間、同じ職場、職種で働きながら、社員として採用されていないのは、派遣法違反の疑いがあります。 派遣法40条の3 「派遣労働者を同一の業務に継続して一年以上従事させた派遣先は、引き続き同一の業務に従事させるために労働者を雇い入れようとする場合には、当該派遣労働者を雇用するように努めなければならない」(優先的雇用の努力義務) 派遣法40条の5 「同一の業務に3年以上継続して同一の派遣労働者を使用しその同じ業務に3年を経過した日以降新たに労働者を雇い入れようとする時には、その派遣労働者に雇用契約の申し込みをしなければならない」(優先的雇用申込み義務) このように(あなたの仕事が派遣受入期間の制限のない26業務に該当するかどうかの問題はありますが)、1年または3年経過した時点で、派遣先が労働者を採用しようとすれば、あなたを優先しなければならないのです。あなたがこのような条件に合致している時は、労働局等を通じて、正社員化を追求するのが先決と思います。 3.均等待遇を要求して交渉・裁判 6年間同じ派遣先で働いてきたので、派遣先とあなたとの間に、「事実上の雇用関係がある」と判断される可能性もあります。正社員としての雇用関係が認められない場合でも、正社員との賃金差(差別)が是正される場合があります。同一価値労働・同一賃金が国際的大原則だからです( ILO 条約100条。日本も批准している)。 行動を起こしたとたんに派遣先から契約更新を拒否される危険性、また、あなたが登録型派遣の場合、即派遣を打ち切られる危険性もあります。それを顧慮に入れた上で、労働組合を通じて、それが不可能な場合は最終手段として裁判提訴することにより、正社員の身分や賃金差額の獲得をめざすことも選択肢の一つです。
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A :法律は、特別の約束でもない限り、そのようなひどいことは認めていません。 第1に、賃金は全額払わなければ違法です。会社は、労基法 24 条(賃金全額払い)に違反します。 第2に、賃金から一方的に「損害分」を相殺することも労基法 17 条(前借金相殺の禁止)違反です。 第3に、会社があらかじめ罰金として「見せしめという意味でその月働いた賃金は払わない」と定めたり、実行した場合は、労基法 16 条(違約金・賠償予定の禁止)違反です。 以上はいずれも、労基法に違反するので許されません。 悪どい経営者は、しばしば殺し文句のように「損害賠償請求するぞ」と労働者を脅かします。たしかに、労働者が故意や過失により会社に損害を与えた場合、会社は損害賠償を請求することは出来ます。しかし、損害賠償分を、給料から勝手に天引きすることはできません。 ましてあなたの場合、法律の規定通り2週間前に退職を届け出ており、新聞販売所の労働実態からしても、特別な事情のない限り、裁判で損害賠償が認められることはほとんどありません。 会社が、給料から天引きすることが許されるのは、 1、税金、社会保険料など、法律で義務付けられているもの。 2、組合費、社宅費、小額の調整など、労使協定で決められているもの。 3、計算ミスなどで給料が余分に払われていた場合、その分の相殺 (生活を脅かすほど多額な相殺、遠い昔の分の相殺は、本人同意が必要です) 4、会社への借金など、事前に本人が相殺に同意した場合。 従って、会社が賃金を払わない場合は、労働基準監督署に申告して厳しく摘発するよう頼みましょう。他の人も同じように脅かされている可能性があります。 また、退職した後に、一人でも入れる地域のユニオンに加入して交渉することもできます。理はあなたにあるので、自信を持って行動して下さい。 0127
給与は月(コミコミ)で16万5千円でした。 昨日経営者から「給与体系を変える。基本給は下がるが割り増し等を付けるから今までと変わらない」との事でした。 社労士の入知恵かとも思いました。 退職金、賞与等基本給を元に計算される物が多い為、私としては正直基本給は下げたくありません。夜勤専従なので割り増しも要りません。 単純に16万5千/22日/8時間、時給約938円とはいかないのでしょうか。 小さい個人経営の施設ですので就業規則等ありません。 基本給は下げたくありません。
A :不透明な給与体系変更によって、疑心暗鬼になってしまっているようですね。 支給額という結果が同じであるため、問題はないと会社側は考えたのかもしれませんが、 まずは、この点を会社側に突きつけてみてはどうでしょうか。 また、契約の際に労働条件は明示されましたでしょうか。 当初より、この明示がしっかりと行なわれていたのであれば、今回のようなごまかしのような給与体系変更をしようとは思わなかったかもしれません。 不利益変更の点と併せて、労働条件明示を改めて求めるのが得策かと思われます。 なお、これらを会社側に突き付けるにしても、お一人では不安なことも多いかと思い 納得のいく形で今のお仕事が続けられるといいですね。 0128
私は現在分譲マンションの管理会社に勤務しておりますが、顧客(管理組合)及び会社の経費の立替金が、多いときは10万円超(給与の3分の1超)の場合もあり、貯金を取り崩している状況です。 会社の経費については、支店の小口現金にて、申請後概ね1週間程度で返還されますが、顧客(管理組合)立替分については、本社にて出納業務を一括管理しているため、立替金返還時期は不定期です(1ヶ月超の場合もあります)。 また返還方法も、給与口座への振込み等ではなく、本社の人間が支店に出向くタイミングにて持参するので、いつ戻ってくるかわかりません。 就業規則にもそのようなことは記載されておらず、雇用契約書も交付されておりません。 そうであれば、どのような違反となるのでしょうか? ご教示いただきたく、お願い致します。 A :立替金については、一般に、少額の交通費などは立替え請求を行い、後日(少なくとも1カ月以内が常識でしょうか)精算されるというパターンが多いと思われます。遠方への出張や接待費用など高額の場合は、予定金額の仮払いを請求し、後日差額の精算を行うということでしょう。 仮払いも認めず、高額の立替払いを強制することはできません。 従業員の同意が必要です。ですから、あなたには、立替払いを拒否することができ、拒否したことで不利益を被ることがあれば、それは「違法」として訴えることができると考えられます。 会社としては、少なくとも、支店の小口現金で速やかに返還できる仕組みを作るか、事前に仮払いする仕組みを作ることが求められます。 いずれにしろ会社との交渉は不可避と思われますので、会社やお住まいの近隣に労働者一人から加入できる労働組合(ユニオン)があれば、まずはそちらに相談を持ちかけ組合員となり団体交渉等の支援を仰いでみてはいかがでしょうか。 0129
職種柄 昔から天候に左右される仕事です。 過去にも色々理不尽な扱いをされていましたが、交渉の末、最近はクローズの時など休業補償や出勤できる時はそれに見合うだけの作業などをさせていただいていました。 しかし、親会社が変わったり、トップが何度か変わったりで、今回の台風でクローズになり、出勤前に連絡があり有休を使うか公休を振り替えるかと強制されました。 台風はまだしも、雪のクローズのときは酷い年には10日以上もクローズになることがあります。 これで安易に休まされる様なことになっては困ります。 今後またこの様な事があった場合は、私は出勤しますと主張してもよいのでしょうか。 その場合、万が一通勤途中に車に物があたるなどあった場合は労災の適用になるのでしょうか? 一年契約の契約社員で本音を言えば、次の更新で制裁されるのが怖い部分もある事は確かです。 でも 正しい事は正しいとおもうので、正しい法律を教えてください。 お願いします。
A :労働基準法(労基法)26条によれば、「使用者の責による休業の場合は、休業期間中、平均賃金の60%以上の手当を支払わねばならない」とされています。 さて、台風や雪による休業が使用者の責によるものになるかと言えば、地震等と同様自然災害であり、使用者の責任とは言えず、ノーワーク・ノーペイの原則に従って休業手当の支払を免れると考えられます。 しかし、過去に交渉の結果、休業手当やそれに見合う作業をしていたという事は、労使の労働条件について合意があったとみなせますので、親会社が変わったことにより、労働条件を一方的に不利益に変更することはできません。変更する場合は労働者の合意が必要になります(労働契約法3条、6条、8条などによる)。合意が無い場合は違法行為になります。この場合は休業手当を請求できると考えられます。 なお、積雪時に出勤したため、通勤災害にあった場合は会社の指示に従って通勤した場合でない限り、労災適用は難しいこともありますので、気をつけてください。 また、一年契約の契約社員でも、一年を超えて何回か更新されている場合は解雇と同様の扱いにされる場合もあります。 本来、地震や積雪時の労働条件等は就業規則に規定されているものですが、従業員が10人以下の場合は就業規則の作成が義務づけられていません。今後も、同様な場合が生じることが考えられますので、労使で話合の上、協約を締結する事をお勧めします。 話合が難しい場合はお近くにある1人でも入れる労働組合(ユニオン)に加盟し、その支援を受けて交渉することをお勧めします。そこでクローズした場合の扱いなど、以前の状態(休業手当の確実な支給など)その他の労働条件の向上について交渉してはいかがでしょうか。ユニオンには憲法や労働組合法によって保障されている労働三権がありますので、貴方の心強い味方になってくれると思います。 他の方法として、貴方の地域(都道府県)の労働局の総合相談コーナーに相談し、あっせんや是正指導を要請することもできます。それなりの効果を期待することもできます。 0130
人身事故などがあり、電車が遅延すると月給からいくらか引かれます。 交通機関のマヒでの減給をする会社が初めてなので疑問です。 A:公共の交通機関の遅延により労務が提供されなかった場合の対応は会社によってまちまちのようです。 鉄道会社が発行する遅延証明書には遅刻をなかったことにする法的効力はありません。 不可抗力で遅刻したという証明にとどまります。 残念ながらノーワークノーペイの原則にのっとります。 しかし、就業規則によって遅刻が交通機関の遅延による場合には給与を支払うと定めることは問題ありません。 残念ながら、会社次第ということにになります。 ただ法律では認められていなくても、労働条件の向上のために要求することは可能だと考えます。 それには労働組合が有効手段だと思いますが、会社には労働組合はございますか? もしなければ、各地域には一人でも加入できる労働組合(ユニオン)があります。 ご連絡いただければ、ユニオンをご紹介することができますので、お気軽にお問い合わせください。 0131
半年程前に、クレームを私が出してしまいました。 会社には、30000円という損害と、お客様に私の上司が謝罪に伺うまでの状況になってしまいました。 私は、事の重大さは重々承知しており、それなりの罰は受けるつもりでしたが、その罰は、1か月間他営業所勤務をすること。 ただし、その間は研修とするので、技能手当、通勤手当カット。 翌月は、他県営業所勤務を5回。 最後は、資格給を毎月20000円カットを1年間。 その研修という名目で他営業所に行っていた間も私は、何も指導は受けていません。 これは、正当な罰で、指導なのか知りたいです。 A:ご相談内容は、「違法な減給の制裁」と判断し、ご回答致します。 現在、以前にクレームを出してしまったことを理由として、不当に賃金をカットされているものと思われます。 減給の制裁における賃金の減給額は、労基法 91 条において、減給は、 @「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え てはならず」 A「総額が1賃金支払期における賃金の総額の 10 分の1を超えてはならない」 これに違反をした場合、会社には「30万円以下の罰金」が科せられます。 一度、下記相談窓口にご相談してみてはいかがでしょうか? ・労働基準監督署 ・日本労働弁護団 こちらも無料です。 http://roudou-bengodan.org/ ・労働組合への加入 お住まいの近隣に労働者一人から加入できる労働組合(ユニオン)があれば、まずはそちらに相談を持ちかけ組合員となり団体交渉等の支援を仰いでみてはいかがでしょうか。 きっと、ご相談者様のお話に真剣に耳を傾け適切なアドバイスをしてくれるはずです。 0132
電車の人身事故で1分遅刻すると15分引かれます。 実質的な14分は無給で働いている状態が発生しています。 また、残業のほうは8時間を越えても15分に満たなければ切り捨てられます。 9時〜18時(1時間休憩)の勤務であれば、18:29まで残業をしても18:15までしか支払われません。 それが一般的な15分単位という会社ルールということだと思いますが、よく考えたら違法ではないでしょうか。 こういうルールでは年単位で考えたときに、積み重なればタダ働きの時間は相当な金額になります。 厚生労働省 大阪労働局のホームページには以下の文面が明示されていました。 「原則的には、毎日の時間外労働は1分単位で正確に計上するのが正しい労働時間管理といえます。 労働時間の端数計算を、四捨五入ではなく常に切り捨てで計算することは、切り捨てられた時間分の賃金が未払となるため認められていません。」 これに則って会社側にタダ働き分を無くさせたいのですが、主張できるかどうか教えてください。 A:正しい勤怠管理方法は、大阪労働局のホームページの通りです。 15分単位とすることは認められていません。 自ら会社に交渉し会社の姿勢を改めさせることが難しい場合は、労働時間が確認できる資料など(タイムカードの写し、給与明細書)を持参し、会社の所在地を管轄する労働基準監督署にご相談されることをお勧めいたします。 0133
会社命令で他社に出向し、先方の都合で勤務時間が短くなったときは、ノーワークノーペイの原則に従い、早退控除をしていました。 社員のひとりが、会社命令なので通常勤務時間分支払われるべきではと言っています。 どのような対応をすべきでしょうか。 A:労働基準法26条(休業手当)では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない」となっています。 一方、民法536条(債務者の危険負担等)の第2項では、「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない」となっています。 この場合、債権者は会社であり、債務者は労働者ですから、労働者には労働契約で定めた通りの賃金を受け取る権利があることになります。 労基法の規定は、「支払わなくてはならない」と使用者に義務を課しています。 これに対して、民法の規定は、「権利は失わない」というにとどまり、債務(賃金)を請求するかどうかは債務者(労働者)の判断に委ねています。 以上のことでお分かりと思いますが、労働時間が短くなった責任が会社にある以上、会社が労働者に対して賃金をまったく支払わないということは許されません。 労基法では「百分の六十以上」となっていますから、それを上回りいくら賃金補償をするかは、労働者と会社の間での交渉しだいということになります。
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