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ジャパンユニオン組合員が未払い残業代117万円をかちとった!




2008年9月18日

感 想 文

労働組合ジャパンユニオン御中

                           埼玉県在住

                           組合員 S.O

 

1.私は、37歳の会社員です。仕事は、下記、未払割増賃金請求闘争(サービス残業代闘争)の相手側となったA社で営業職に従事しています。

A社には、今年(2008年)の1月に入社いたしました。それ以前は、営業職とは無縁の仕事で働いて来ました。

A社では、雇用契約書で所定労働時間が午前 9 時から午後6時まで(正午から午後1時まで休憩)と決められていました。しかし、実際のところは、午前8時30分から午前9時までに出勤して、すぐに清掃に取り掛かり、午後8時から午後9時頃まで仕事を行なうことが常態化していました。それにもかかわらず、所定労働時間外労働をしても、残業手当は付きませんでした。いわゆるサービス残業です。

私は、今までの営業とは無縁の仕事で働いていた頃は、所定労働時間外労働をすれば、きちんと残業手当が付いていたため、腑に落ちない思いでした。

 

2.そして、私は、自分でインターネットや書籍で残業手当について調べました。そうすると、営業職だからと言っても、残業手当を付けなくても良いという法令は無く、時間外・休日・深夜の割増賃金は、支払わなければならないことが分かりました(労働基準法 第37条)。ただし、農水産業従事者や管理監督者、監視・断続的労働従事者、宿日直勤務者など一定の労働者は適用を除外されるそうです(労働基準法 第41条)。

これらの条文を読んだ私は、勇気が出ました。

 

3.私は、本格的にサービス残業代を勤務するA社に請求したいと考えるようになりました。最初は、労働基準監督署に個人で相談・申告をしてサービス残業代を支払って貰うようにしようかと思ったのですが、インターネットの掲示板などに「労働基準監督署へ一人で相談に行ったら、『会社と良く話し合ってからまた来てください』と言われた」とか「労働基準監督署の職員は、一人だけで行くより大勢で行った方が対応が良い」などの書き込みがなされていたのを数多く読みました。掲示板には、何の根拠もない噂話の類のものも少なくはありませんが、この件に関しては、労働基準監督署への不満の意見の方が圧倒的に多かったので、全く無視できないと思いました。

 

4.そのため、一人だけで闘うより、同じような労働条件で疑問を抱いている仲間と一緒に闘いたいと思うようになりました。その方が、悩みを共有できますし、何より心強いからです。

労働条件での闘う仲間と言ったら、まず考えに浮かんだのが労働組合でした。A社には、残念なことに労働組合がなく、さらに、社員の間でもサービス残業は当然のような認識を持った労働者が大半でした。

そこで、インターネットで会社の枠を超えて、個人でも加入できる労働組合が、もしかしたら在るかも知れないと思い、一生懸命となって検索しました。

そうしたら、「社員、パート、派遣、アルバイト、契約、委託すべての労働者が全国どこからでも1人でも入れる労働組合 ジャパン ユニオン」とのホームページを見つけるに至りました。そして、ホームページには、「サービス残業の撲滅と残業代の取り戻し」について力を入れて活動をしていることが熱心に書かれていました。

それを読んだ私は、「この労働組合だ」と思いました。それに、他の労働組合と組合費を比較したところ、労働組合ジャパンユニオンは、安く良心的と感じましたので、入会することを決めました。

 

5.ホームページ上の加入申込書に記入をして加入の意思表示をしました。加入が承認されたときは、「これで自分も労働組合員だ。労働組合ジャパンユニオンのホームページにも掲載されているように、 憲法、労働組合法に基づく組合員としての権利と保護を受けられるんだ」と思い、精神的な安心感と闘う意欲が湧いてきました。

 

6.加入してからは、労働組合ジャパンユニオン 書記次長の矢部さんから親切、丁寧に電子メールでサービス残業代の計算方法や所定休日の取り扱い、サービス残業代の算定基礎などを熱心に教えていただきました。電話より電子メールの方が、自分の都合の良い時に対応(読む)すれば良いので、仕事の支障になることがなく、便利だと感じました。

 

7.下記、「 未払割増賃金請求闘争の軌跡」に書かせていただきましたが、「割増賃金計算書」と「出勤簿」を矢部さんへ電子メールに添付して送信し、ご指導と助言をいただいて何度か手直しをした後、労働組合ジャパンユニオンがA社に「労働組合加入通知及び未払残業代請求書」を内容証明郵便で送付してくださいました。

 

8.上記、内容証明郵便を送付していただいてから約半月後が支払の期限でしたので、その間、「果たして、会社が素直に支払ってくれるだろうか」とか「会社にサービス残業代を請求して良かったのだろうか。法律には確かに規定されているが、巷ではサービス残業が割合に行なわれているようだし・・・」など弱気になってしまったこともありました。

しかし、今日、世間では、サービス残業について、テレビや新聞などで大きくクローズアップされて問題となっている現状であります。

そして、サービス残業をなくすため、「サービス残業 厚生労働省対策要綱、指針」により厚生労働省(国)が積極的に対策を講じています。

また、労働基準監督署への相談や申告、そして、裁判所への民事訴訟など、法律はもとより世論が“反サービス残業”となりつつあります。

そのような中で、「赤信号みんなで渡れば恐くない」方式でサービス残業がまかり通ってしまうのは、おかしい気がします。誰か一人でも、「赤信号で横断することは悪いことだよ」と言う人がいなければ、社会の法秩序に悪影響を及ぼし、やがては混乱を招いてしまうことになります。

私たち労働者の一人ひとりがサービス残業撲滅の強い意志を持って望まなければ、将来の労働者の労働条件が衰退してしまうことになってしまいます。

ですから、私は、くじけそうになったら、「我が国の労働条件の向上に寄与している」と気持ちを奮い立たせて闘いました。

 

9.いよいよ支払の期限となりました。期限日の午前中は、A社からの動きはありませんでしたが、午後になってから、労働組合ジャパンユニオンに連絡がありました。その連絡があったということを矢部さんから電話ですぐに知らされました。

結果は、「請求額(1,174,828円)どおりに満額支払う」でした。請求額どおりだったので、正直なところ金額面でもうれしかったのですが、今までの苦労が報われ、そして、労働条件の向上に繋がったことも非常にうれしかったです。

そして、後日に上記、請求額が銀行口座に振込まれ、完全勝利で未払割増賃金請求闘争が終結しました。

 

10 .今回の未払割増賃金請求闘争を経験して感じたのは、サービス残業代の支払を使用者に義務付けることによって、時間外労働を抑制し、長時間で過重な労働となることが無いようにする立法趣旨があると言うことです。時間外労働は、あくまで例外的に認められているに過ぎないことが良くわかりました。

時間外労働は、労働者が自分の貴重な時間を費やして働いているのであり、残業手当は、その貴重な時間に対しての代償でもあると考えます。

人生は、ある意味、寿命のカウントダウンと言えます。その大切な時間を労働に充てても残業手当が支払われないと言うのでは、とても納得できません。

 

11 .それから、サービス残業代を請求するために労働基準監督署への相談や申告、そして、裁判所への民事訴訟を提起することは、選択肢の一つとして良いことだと思います。

しかしながら、出来れば使用者との話し合いで解決が出来た方が良いと考えます。

それは、最終的に労働基準監督署からサービス残業代の支払命令や裁判所からの判決を使用者が受ければ、どうしても感情面でしこりを残す結果となってしまいがちだからです。

その点、話し合いでの決着ならば、感情面である程度の納得が行っていると思いますので最後は傷跡をあまり残さずに解決となると思います。

もっとも、最初から話し合いに使用者が応じる可能性が非常に低い、または、絶望的な場合には、労働基準監督署や裁判所での解決を中心に図った方が良いかもしれません。

その点は、労働組合ジャパンユニオンが親身になって相談に乗ってくださいますので、気兼ねなく話をされることをお勧めします。

そして、労働組合と本人の二人三脚が相乗効果を発揮し、大きな力となって使用者と闘うことができます。

12 .私は、A社で現在も変わりなく働いています。

サービス残業代を使用者に請求したい労働者の方に「あなたは間違ってない」と言いたいです。

末筆となりますが、私は、我が国の労働者の何千万人の中の一人の労働者に過ぎませんが今後とも、労働者の労働条件と地位の向上に寄与したいと思っています。

 

 

 

T.私の未払割増賃金請求闘争のまとめ及びそれから得た教訓

 

(1)勤務時間の記録証拠(@タイムカード A電子メール B営業日報 C手帳にメモなど)   

  は大切なので、きちんと管理・保存する。

(2)労働組合ジャパンユニオンのホームページにある「サービス残業代を取り戻す手順・方法」を参考にして闘えば、とても有利に闘える。

(3)労働組合に加入し、団結することは非常に有意義。

(4)労働組合にまかせきり・頼りきりにならないで、組合と本人とでの二人三脚を行なう。

(5)絶対に勝つという信念を持つ。

 

 

 

U.未払割増賃金請求闘争の軌跡

 

2008年8月 2日  労働組合ジャパンユニオンに加入しました。

 

2008年8月 3日〜8月20日  この期間は、労働組合ジャパンユニオン 書記次長 矢部さんのご指導・助言を受けて、会社の休日と勤務日には自宅に帰ってから「割増賃金計算書」を作成していました。

また、タイムカードの写しをパソコンに入力して「出勤簿」を作成しました。

 

2008年8月21日  労働組合ジャパンユニオンがA社に「労働組合加入通知及び未払残業代請求書」を内容証明郵便で送付してくださいました。

併せて「割増賃金計算書」と「出勤簿」も郵送してくださいました。

上記「労働組合加入通知及び未払残業代請求書」の主な内容は、1,174,828円を2008年9月5日までに支払を要求する文面でした。

 

2008年9月 5日  A社代表取締役社長から労働組合ジャパンユニオンに「請求額どおりに満額支払う」旨の通知がありました。

 

2008年9月 8日〜9月10日  労働組合ジャパンユニオン、私、A社の三者で「協定書」を作成しました(郵送によるため、2〜3日必要でした)。

 

2008年9月12日  1,174,828円が銀行口座に振込まれ、およそ40日間の期間だった未払割増賃金請求闘争が完全勝利にて終結しました。

                                    以上です。

 

 

 

 


NPO法人労働相談センター 全国一般東京東部労組 ジャパンユニオン