−「特定受給資格者及び特定理由離職者」の活用を−

 

 


「特定受給資格者及び特定理由離職者」制度(詳細は別項参照)をご存知でしょうか。

これは、会社の倒産や解雇はもとより、労働契約時に提示された労働条件と事実との著しい相違、賃金未払い、長時間労働等が原因で労働者自身の責によらず離職を余儀なくされたとき、あるいは入社して間もないうちに疾病のため退職しなければならなくなったなど「正当な理由のある自己都合」で離職した場合は、失業給付に関して通常の所定給付日数にプラスアルファが付くというものです。

しかも、受給資格期間は通常の「1年」の半分である「6カ月」ですから、“使い手”はかなりあると思われます。

たとえば、引き続く賃金未払い、15%超の賃金カット、3カ月にわたる月45時間超の残業、やむを得ない住居移転による通勤困難などがもとで退職した場合、これまで会社によって「自己都合」とされていませんでしたか?

実はこれらすべて特定受給資格又は特定理由離職要件に該当します。事実を裏付けできる証拠資料等があれば、迷わず、ハローワークに異議を申立てましょう。

この際特定受給資格者及び特定理由離職者制度を学習し、退職にあたっては、資格者に該当させるための「条件探し」「環境作り」をすることが、このたびの改悪に対抗する強力な手段であろうと判断します。

皆さんぜひ、特定受給資格者及び特定理由離職者についての認識を深め、より有効に活用していきましょう。

 


特定受給資格者及び特定理由離職者の判断基準 (厚生労働省)  


●特定受給資格者の範囲


T 「倒産」等により離職した者



(1) 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等) に伴い離職した者

(2) 事業所において大量雇用変動の場合 (1か月に30人以上の離職を予定) の届出が されたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が 離職したため離職した者

(3) 事業所の廃止 (事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者

(4) 事業所の移転により、 通勤することが困難となったため離職した者



U 「解雇」等により離職した者


(1) 解雇 (自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者

(2) 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者

(3) 賃金 (退職手当を除く。) の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が引き続き2か月以上となったこと等により離職した者

(4) 賃金が、 当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した (又は低下することとなった) ため離職した者 (当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)

(5) 離職の直前3か月間に連続して労働基準法に基づき定める基準に規定する時間 (各月45時間) を超える時間外労働が行われたため、 又は事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者

(6) 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行って いないため離職した者

(7) 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者

(8) 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記(7)に該当する場合を除く。)

(9) 上司、 同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者及び事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の措置を講じなかったことにより離職した者

(10) 事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者 (従来から恒常的に設けられている 「早期退職優遇制度」 等に応募して離職した場合は、 これに該当しない。)

(11) 事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した者

(12) 事業所の業務が法令に違反したため離職した者



●特定理由離職者の範囲

以下に該当する方は、受給資格にかかる離職の日が平成21年3月31日から平成29年3月31日までの間にある方に限り、 所定給付日数が特定受給資格者と同様になる場合があります。(下記Uに該当する方は、被保険者期間が離職以前 2年間に12ヶ月未満で、かつ、離職以前1年間に6ヶ月以上ある場合に限り、所定給付日数が特定受給資格者と同様 になります。)

T 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)(上記「特定受給資格者の範囲」のUの(7)又は(8)に該当する場合を除く。)(※)

(※)労働契約において、契約更新条項が「契約の更新をする場合がある」とされている場合など、契約の更新について明示はあるが契約更新の確認まではない場合がこの基準に該当します。


U 以下の正当な理由のある自己都合により離職した者(※)


(1) 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者


(2) 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者


(3) 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の介護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者


(4) 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者

(5) 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
@) 結婚に伴う住所の変更、A) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼、B) 事業所の通勤困難な地への移転、C) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと、D) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等、E) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避、F) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避


(6) その他、上記「特定受給資格者の範囲」のUの(10)に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等

(※) 給付制限を行う場合の「正当な理由」に係る認定基準と同様に判断されます。


労働相談センター全国一般東部労組ジャパンユニオン